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【報告】ガンボーニ教授セミナーの舞台裏——準備勉強会ことの次第 (2)

2009.08.25 近藤学, イメージ研究の再構築, セミナー・講演会

※UTCP新中期教育プログラム「イメージ研究の再構築」では2009年7月、ダリオ・ガンボーニ・ジュネーヴ大学教授をお招きして2度のセミナーを開催。このうち第2回目に関しては、参加予定者(大学院生)を主体に、きわめて入念な準備が行われました。まとめ役を担当した研究員がその模様を報告します。

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【2009年7月16日、ガンボーニ氏によるセミナー第2回】

承前(前半→こちら


セミナー企画の過程でガンボーニ教授から、当日話題にしたいトピックや質問を、メモの形で事前提出しておくようにとのリクエストが出ていた。そこで、英語での発言練習を終えたあと、勉強会の参加者全員が、発言予定の内容を、今度は英語で文章にしてメーリングリストに投稿。それを筆者が簡単なリストにまとめ、藤原氏経由でガンボーニ教授にお送りした。

ここまでですでに一ヶ月が経過していた。6月末、ふたたび藤原氏が駒場に来訪され、勉強会第5回はそちらと合同とした。上記の質問表を参照しながら、当日の進行を打ち合わせた。同時に、あまり準備しすぎると当日の「勢い」が失われるとの声もあり、つづく第6回は趣向を変えた。『潜在的イメージ』のうち、講演会およびセミナー1と関連の深い章を選んで読んで内容を検討。

本番を翌週に控えた最終回=第7回は、各人が当日話題にしたい画像資料を持ち寄った。イメージを記述・分析するのは、慣れていないと少々やっかいな作業である。母語を用いる場合でもそうなので、外国語となると、練習の必要はさらに増す。したがってこの回は、対象を前にしながらその細部を言葉に置き換えたり、そこから一般的な観察を引き出たりといったことを英語で行う訓練に充てた。ほとんどの出席者にとっては初めての経験だったはずだが、前回ふれたディスカッションのときと同様、そろって果敢に挑戦していた。

(最後の2回をめぐって特筆しておきたいこととして、学部生2名——いずれも3年生——が、最後の2回にほとんど「飛び入り」で参加したという点がある。できるだけ広く告知を打った講演会の場合と異なり、ガンボーニ氏のセミナーに関しては、 構内にささやかなフライヤーを貼り出した以外、宣伝らしい宣伝を行っていなかったのだが、ふたりはこのフライヤーを目にして参加を申し込んできたのであった。他の出席者とまったく同じ条件のもと、しかもはるかに厳しい時間的制約のなかで、両人ともきわめて意欲的な取り組みを示してくれた。)

かくして臨んだ7月16日、セミナー2当日については、すでに三浦教授がブログ記事のなかで触れられているし(→こちら)、平倉圭さんの手になる、それ自体として興味深い敷衍をまじえた報告もあるので(→こちら)、改めて詳述する必要はないだろう。本稿との関連でいえば、勉強会出席者の全員がひとわたり発言の機会を与えられ、準備していた内容(の少なくとも一端)を、ガンボーニ教授を前に披露することができた。この意味では、とりあえず所期の目的は果たされたと言っていいかもしれない。

ただし筆者としては反省点が残った。なによりも、このセミナーの性格を読み誤ったということがある。前回触れたとおり、藤原貞朗氏の体験談を伺った結果、勉強会では、出席者同士が活発に意見交換できるようにすることを第一の目的に掲げたのだが、これは的はずれであったことが判明したのである。事前に質問のリストを提出させていたガンボーニ教授は、本番ではそのリストの項目をひとつずつ取り上げてコメントするという方法を採られたからだ。したがって実際には講義に近い形式になったので、ディスカッションを予想していた参加者の皆さんは少なからず戸惑われたのではないか。これは一にかかってまとめ役であった筆者の責任であり、反省することしきりである。

とはいえ、そのような失敗はあったものの、勉強会は全体として有意義な試みだったと考える。繰り返せば、参加者の皆さんの熱意と努力には、筆者としても大いに啓発された。正規の授業と関連しつつ、しかし基本的には各自のイニシアティヴにもとづく輪読と討論という、一味ちがった学問の場が、有益であるばかりか、思いのほか楽しいものだということ、これは全員の一致するところだったと思う。このような機会を与えてくださったガンボーニ、三浦両教授にあらためて深く感謝したい。

(文責:近藤 学)

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【撮影:藤原貞朗氏】

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