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こまば哲学カフェ シリーズ:あの世とこの世の哲学対話 実施レポート

2021.02.26 梶谷真司

世話役:いでしおこ(How to Get to 哲学対話?)
テーマサポーター:金子稚子(ライフ・ターミナル・ネットワーク)
運営サポーター:二村ヒトシ・加倉井拓夫・村松志真・中塚祥子/335・大塚拓海

<シリーズ趣旨文>
死について考える場があると、皆、関心を持って熱く語ってくれるのに、普段、私や私たちは「死について考えること」が身近ではありません。生まれたことのある全員に死は平等に訪れるのに、なぜ死は“他人事”の様に感じるのでしょうか。
よく死ぬことは、よく生きることにも通じると言います。
普段、周りを気遣って使えない言葉や表現も、ルールに守られた哲学対話の場では安全に発言できます。
周りの空気を読む不自由さの外で、もしよければ一緒に“死”を考えてみませんか?

<テーマ及び、開催日程/参加者数>
Vol.1 人はなぜ、死について話さないのか?  
  2020年11月7日 (土) 10:00 - 13:00  /24人  
Vol.2:なぜ 愛でる時に死を持ち出すのか? or ずっと会ってない友達と死んだ友達はどう違う?
  2020年12月12日 (土) 10:00 - 13:00 /32人
Vol.3:あなたにとっての「自分の死」とは? (アイスブレイク:『誰に看取られたいですか?』)
  2021年1月9日 (土) 10:00 - 13:00 /36人
Vol.4:死にたくないのは何故でしょう? (アイスブレイク:『死ぬまでに何がしたいですか?』)
  2021年2月14日 (日) 10:00 - 13:00 /30人

《次回開催》
Vol.5:「私の死」は自分のものか? (アイスブレイク:『死んだ後、どう扱われたいか?』)
  2021年3月14日 (日) 10:00 - 13:00 /50人募集予定

<平均的なスケジュール>’
  1:参加条件の確認
  2:スケジュール/グランドルール説明
  3:テーマ説明後、ブレイクアウト
  4:哲学対話 90分(アイスブレイク:各回テーマにちなんで設定)
  5:問出し5分(チャット欄利用)
  6:感想・雑感 〜 最大13:00まで

<準備>
・事前にテーマサポーターの金子さんと、班長の面々で事前ミーティングをしていたおかげか、みな死生観ということでの特段の緊張はせず、参加できた。
・開催後にメンバーで集まり、各班での内容、感想・雑感の時間に出てきた対話や話題から次回開催テーマとアイスブレイクの問いを決定。その際に次回出席可能な班長を確認し募集人数を決める。

<初回集まった問い>
•デジタル空間での「死」とはどんな状態のことを指すのか?
•もし死がなければ、人生は今以上によりよくなるのか?
•死ぬのも嫌だけど、生きるのも嫌なのはワガママなのか?
•なぜ人が死について真面目に語っている時、真面目に聞いてないと怒られるのか? 他

<参加者の雰囲気/所感>
•参加者数は募集人員の6-9割。
•前日に友人が自死なさったという方がいたが、時折発言を交えつつ最後まで参加されていた。周りも事実を知っても大袈裟にいたわる訳ではなく、自然な対応で違和感がなかった。
•初回の問い出しで集まった数は300以上と非常に多かったが、7-8人ずつに分けたブレイクアウトルームでは沈黙が続く訳ではないが口数が少なかった。考えていることはたくさんあるが、口に出すことに慣れていない感じがあった。
•メンバーは変わっているはずなのに回を重ねるごとに、リラックスをして皆しゃべっているように思う。リピートしてくれている人が楽しんでくれているからなのかもしれない。

<アンケート回答>
•話題からどんどん広がり、最後は最初の問いから外れることがあると気づきました。でも、どの話からも必ず考えることがあり、非常に楽しいと感じました。
•とても良い時間を過ごすことができました。ありがとうございました。
•良い雰囲気だったと思う。
•知的安全の保たれた空間、ルール、素晴らしいなと思います。運営、ありがとうございます。
•ほとんどの参加者の方が、死や生に関し、難解な言葉を使っていなかった。その人の体験や感覚で語られていたことが、他の哲学対話よりもよかったと思います。
•私は最終的に黙ることが多いのですが、今回はなんとか話せました。
•皆さんの考えや価値観を知ることができるので、視野が広がり楽しみです。
•前世の記憶を持った人の話が興味深かった。
•人の「初期設定」を生ききる、というような考えが出たグループにいました。初期設定という言葉自体、さまざまな解釈ができ、哲学対話のテーマにすらなりそうです。
•私個人は考えやすく、語り易かったテーマでした。
•私が経験したことのないお話、考えが聞けるところです。
•対話のルール(安心感)、多岐にわたる視点。
•生きる意味とはなんでしょうか?
•寝る時死んで起きて生き返る、寝るのがちょっと恐い、という感覚の人はどれくらいいるのか。
•生き抜くとはなんだろう・生ききるとは何だろう。ぬく・きるの違い。これは刺さりました。逆に「死に抜く」はないのか。「死にきる」はあるように思うが。
•葬式で亡くなられた方の良いことだけをいう雰囲気があると思いますが、話しているうちにその人が良い人に感じられませんか?それもそれで楽しいと思いませんか?
•存在とは何か。

<感想と謝辞>
•当初、お葬式に出る機会もほとんどなく死が身近に感じられずにいたが、回を追うごとに死に対して“ただ無になる”だけではなく、周囲に与える影響や悔いについても考え、死をリフレーミングできたように感じる。
•「死にたいとか生きたいとか考えずに生きることが幸せではないか?」「AIの美空ひばりやSNS上で死んでからも家族が投稿しているような場合、本人は本当に死んでいるのか?」「尊厳死/安楽死」「メシアコンプレックス」「デジタルクローン」など、今後も死を取り巻く多様な問題について考えたい。
•なんらかの形で死と関わった人も、死に対してあまり考える機会がなかった人も、同じテーブルにつき、同じテーマ、同じ問いをそれぞれの方向から、適度な距離を保ちつつ【問い】【語り】【考え】【話を聞く】ことを通じて考えの変化を楽しむことができる哲学対話の魅力を改めて感じている。

•素敵なアイディアや、チアアップで常に助けてくれている仲間達。また、このようなシリーズで哲学対話を開催させてくださっている梶谷先生とUCTPのスタッフの方に、この場を借りてお礼を。ありがとうございます!!

<今後について>
•引き続き、月1回のペースで開催したい。
•参加者の中からお手伝いいただけそうな方に声をかけ、アイスブレイク担当とルールの体現者となる班長を増員中。

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