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【報告】第一回東洋医学研究会

2018.04.28 梶谷真司, 中島隆博, 李範根, 佐藤麻貴

4月20日に第一回東洋医学研究会が開催された。本研究会では、今後三年にわたり、身体という人間にとって最も身近な自然に対する医学的アプローチの東西の差異に注目し、実際に東洋医学を体験することにより、実践を通した哲学的考察を深めていこうと考えている。第一回目の研究会では、この勉強会の共同発起人である鍼灸師の唐沢具江先生(ホテル椿山荘東京店庵 SHINKYU院長代行)に御登壇いただき、舌診と針の体験を中心に行った。

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まずは、舌診の主な見方を唐沢先生に御講義いただいた。舌診の重要性として、舌は唯一、自分で見ることのできる内臓であるということから、脈診や腹診よりも自分で診断しやすく、日々の体調の変化を捉えることができることが説明された。例えば、舌辺(ゼッペン)が波打っている場合は、浮腫みがあったり、噛み締めていたりするかもしれない事から、水分代謝が上手くできない溜め込み体質か、飲み過ぎ食べ過ぎ、あるいはストレスがあるかもしれないこと。舌の中心にひび割れが見える場合は、体内のエッセンス不足=潤い不足である状態。不足の理由は、下痢、汗かき、水分摂取の絶対量が少ない、嘔吐、胃腸の機能低下により水分を効率良く吸収できないなど、気血水のバランスが悪化している状態であること。舌苔の色によって分かる内臓の状況(例えば、舌苔が黄色で厚い苔の場合は胃腸に熱を帯び「湿」が強い状態=食事バランスが乱れ嗜好品などを多く摂取している)などについて一通り説明を受けた。

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続いて、唐沢先生が作成くださった舌診表に、実際に自分の舌を鏡で見ながら、舌の状態を書き込む作業を行った。その後、一人ひとりの舌の状況を唐沢先生に診察いただき、舌の状況からおおよその参加者の身体の状況を診ていただいた。私は、舌先が赤くなっていることから睡眠の質が悪く、舌辺が波打っていることから水分調整がうまくいっていない、ストレスがあることが考えられると指摘された。

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次に、種々様々な針の実物を見せてもらいながら、いわゆる、針治療について説明を受けた。現物を手にすることで、針にも、実に様々な種類があることに、参加者一同、驚きを隠せなかった。

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針の体験については、身体の不調(眼精疲労や肩こりなど)について気になる症状に関するツボ(経絡)を、針で刺激してもらう体験をした。

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慢性的な症状がある参加者には、数時間から数日間にわたって針を置いておく置き針(針シール)治療に切替えられた。今回、針や針サンプル、ポスターの提供を下さったセイリン株式会社様には、この場を借りて御礼申し上げたい。

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勉強会では毎回、食養生も勉強することから、今の季節(肝)の養生に効果のある食べ物として、台湾のサンザシのお菓子と眼精疲労に効果のあるクコの実が紹介された。サンザシとクコの実を食しながらの勉強会は終始和やかで、大変楽しい勉強会となった。次回以降の勉強会が楽しみである。なお、「鍼」の表記については、他説あるが、小曾戸洋先生の『針灸の歴史』(大修館書店)に倣い「針」に統一した。(文責:佐藤麻貴)

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