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【報告】第25回 国際哲学オリンピック・オランダ大会 

2017.06.20

日本代表 國松麻奈(洗足学園高校3年)さんの報告

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感想を一言で言えば、「みんながすごかった」ということにつきます。自分の存在のちっぽけさに気づくことができた貴重な旅でした。

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IPOで出会った人の中には、すでに自分の会社を立ち上げている人や、1年後に兵役を控えている人、兵役の代わりに1年間発展途上国で英語を教えるボランティアをする人、本当に様々な人がいました。視野に入れている進路も様々で、哲学の集まりなのにもかかわらず、生物の分野、医療、政治、など将来したい仕事は人それぞれでした。もちろん中には哲学を学ぶと決めている人もいました。さらに、みんなの博学さに驚きました。同じ年だけ生きているとは思えない人たちばかりで、とても焦りを感じました。
そして皆、哲学が好きなのに、日本の哲学好きのステレオタイプ(内向的、社交性がない、など)のような人は全然いませんでした。街の観光の時に同じグループになったスロベニア人の子は、将来政治にかかわりたいと言っていたのですが、「みんな政治についてあれこれ言うけど、具体的に何が悪くてどのようにうまくいっていないのかをちゃんと理解していない」と言っていて、たくましいな、と思うと同時に、自分がその中の「理解していない」一人に当てはまると感じ、どきっとしました。また、彼女は、「国などという大きな単位での政治ではなく、もっと小規模で具体的に改善すべきところが明確な所で働きたい」と言っていました。このような人たちが世界をちょっとずつ、しかし確実に良い方向へ変えていくのだと思います。ちなみに彼女は、ipoでもちゃんと奨励賞を取っていました。このように、哲学もできるのに、外交的で、他の分野にも興味があって、リーダーシップを取る力もあるような人たちにたくさん出会って目からうろこが落ちました。そういえば、哲学が好きだからと言って暗くて内向的で他の分野には全く興味がない、とも限らないという当たり前なことを、IPOに来るまで分かろうとしていませんでした。かえって私はこのステレオタイプにすがる方でした。私の内向的な所や、書くのは好きだけれど話し下手な点を全て「哲学が好きだからだ」というふうに適当な言い訳で済ませていて、何も改善しようとしていませんでした。そんな自分が恥ずかしくなりました。

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他にも、哲学の知識を全然ひけらかしておらず、むしろ哲学者というイメージから程遠く、ユーモアのある楽しい雰囲気の人に限って、最後の日に表彰されていて、本当にすごい人は謙虚なのだな、と強く感じました。よく考えてみれば、私は別に哲学者の本を読み漁っているわけでもなく、本当に浅はかな知識しかないにもかかわらず、この大会の代表として選ばれたことに満足し、そこをゴールとして終わってしまい、その上自惚れてしまったような気がします。なので、この大会に実際に行って、賞を取れずに終わって、自分よりもはるかにすごい人が世界には本当にたくさんいるんだということを学び取れただけでも本当に自分にとってとてもいい経験になったと思います。その他にも、ルームメイトがイタリアやカザフスタンの人だったり、日本の言葉やアニメをたくさん知っているモンテネグロの人に出会ったり、哲学にとても詳しいドイツの人と話す機会があるなど、様々な国の人と密度の濃い時間を過ごすことができたことも本当に人生に大きなプラスとなりました。

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IPOは、私にとって高校生活の良い締めになりました。一緒に行った石川くん、連れて行ってくださった梶谷先生、林先生、そして上廣倫理財団の佐々木さん、本当にありがとうございました。

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