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【報告】2015年度東京大学-ハワイ大学比較哲学夏季インスティテュート(9)

2015.09.29 梶谷真司, 中島隆博, 川村覚文

引き続き、2015年8月に行われたハワイ大学と東京大学の比較哲学インスティテュートについての報告です。今回は、8月18日に高野山蓮華定院で午前に行われた講義の模様および午後のアクティビティについて、東京大学文科一類の上田有輝さんに執筆してもらいました。

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UTUH Summer Institute16日目、8月18日の様子をご報告したいと思います。
この日は、午前中はレクチャー、午後は自由時間でした。
まず午前中。蓮華定院の添田和尚よりお話を頂きました。内容は弘法大師の生涯についてや、死と生の不思議さ、それと関連して日本人の死生観と仏教の関係について、などでした。
質疑応答の時間には、高野山のお坊さんと直接お話しできるこの機会を楽しみにしていた参加者よりたくさんの質問が寄せられました。例えば、前日の議論も踏まえ、空海が声字実相義で展開した世界観についての質問などです。参加者からの専門性の高い質問には少々驚かれたようでしたが、きちんとお答えを頂くことができ、大変貴重な議論の場になったのではないかと思います。

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午後は自由時間で、めいめい自由に宿坊で休んだり、写経をしたり、高野山を見て回ったりしていました。僕自身は、同じく学部2年の大畑と共に町の中心部に出て久しぶりの肉料理を楽しんだり、宝物殿を見学したり、金剛峯寺内部を見学したりしました。金剛峯寺はやはり巨大なお寺で、数々の美しい屏風画や、日本最大の石庭が、とても印象に残っています。

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高野山最後の夜は、学生の参加者ほぼ全員で一部屋に集い、あるイベントをしました。それは、連歌 in English。ハワイ大のある学生のプレゼンテーションのための実験として提案されたものだったのですが、日本の学生と日本文化に関心の深いハワイの学生とが集うこのサマーインスティテュートならではの試みで、大変印象深い経験になりました。一つ目のセッションは、小林一茶の俳句の英訳から始まり、その句を読んで感じたインスピレーションを俳句にして次の人に託し、次の人は一つ前の句だけを読んで自らの俳句を詠む、という様にして参加者で一周しました。詩的インスピレーションの伝言ゲームといったイメージです。一周したところで全ての句をつなげて読み上げると、誰も予想しなかったように句が展開していて、それでいて1つの雰囲気が保たれている様子がとても興味深かったです。他にも、ある情景の写真を元に参加者の一人が詠んだ句を元に同じことを行ったり、二人組に分かれて同じ情景をテーマに連歌を行い披露しあったりもしました。英語の母語話者でない私にとって英語で句を詠むのは簡単ではありませんでしたが、だからこそ短い英語表現から生まれるあいまいさや味わいを「楽しむ」、そしてハワイ大の学生たちと「共有する」という経験は非常に新鮮で、忘れがたい思い出になりました。

文責:上田有輝(東京大学文科一類)

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