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時の彩り(ラスト・ラン) 153

2014.04.14 小林康夫

★先週の水曜日は、京都へ。国際会館で開かれた「京都国際ラカン精神分析コロキアム」に出席。目的は、ここにゲストで招かれたラカン派精神分析家のジャン=ルイ・ゴーさんに会うため。じつは、わたしがパリに留学していた70年代末に、かれと友人のハシェム・フォダと3人でラカンの「エクリ」を読んでいた。モンマルトルのわたしの小さなステュディオで、わたしがカレーライスをつくり、和菓子を出して、「カントとサド」かなんか、読んでましたね。なにしろジャン=ルイは、ラカンに教育分析を受けた最後の人のはず。こういうつきあいができたことが、いまこの歳で思い返すと、わたしの自己形成にどれだけ大きな力になったか。そんなことを思ったので、この機会にこそ会いに行こうと京大の新宮さんに伝えたら、新宮さんがどうぞ、と言ってくださった。ありがたいこと。イベントの前の非公開のプレ・セミナーにも出させてもらって、国際会館のロッジも手配してくださった。ジャン=ルイにも30年ぶりに会えて、なつかしいなあ、となったわけ。時間が制約されていて、翌日のジャン=ルイの講演を聴いただけで、こちらの反応を伝える暇もなく、帰京したのですが、こちらとしては、まあ、会えて、あのときはありがとう、と伝えることができればそれでよかったのです。次の機会にはもう少しゆっくり話しができるかな。(アカデミックな収穫としては、プレ・セミナーの主題であった「引きこもり」の機構について、症例報告から出発して、自分なりのアイデアが出たのがおもしろかったですね)。

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★さて、新学期。わたしの授業は明日から。定年前最後の1年がはじまります。大学院の授業に関しては、わたしとしては、表象文化論のガイダンスでも言ったけど、自分のキャリアの「落ち穂拾い」をする予定。授業のテーマはなし。強いていえば、つねにInsoutenable légèreté を呈するわたしのカオス的思考そのものかな。最後に自分の愚かさを確認くらいはしておかないと。シラバスにも「多くの聴衆を望まない」と書いておきました。

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