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【報告】「環境」をめぐる京都・熊本での活動(3)

2014.02.17 梶谷真司, 清水将吾, 小村優太, 佐藤麻貴, 宮田舞, 神戸和佳子, Philosophy for Everyone

2014年12月4日~8日の期間、梶谷真司先生のUTCPにおける「Philosophy for Everyone(哲学をすべての人に)」プロジェクト、ならびに総合地球環境学研究所におけるインキュベーション研究「地域性と広域性の連関における環境問題~実生活への定位と哲学対話による共同研究」の一環として、京都と熊本への出張があった。3回にわたる報告の最終回として、12月7日に上天草の婚活交流会の一部として行われた哲学対話イベントの報告を、神戸和佳子氏にしていただく。

 
12月7日 「愛を語ろう in 上天草」Xmasカップリングパーティーでの哲学対話

2013年12月7日、熊本県上天草市のフィッシャリーナ上天草にて、「愛を語ろう in 上天草〜Xmasカップリングパーティー」というイベントが開催された。UTCPはこのイベントを共催し、「愛」をテーマに哲学対話を行った。

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当日は、出会いを求める男女12名ずつと、地元住民が10名強集まった。自己紹介の後、まずはグループに分かれ、「質問ゲーム」を行った。男性参加者は、自分が考える「いい男」像、女性参加者は「いい女」像を述べ、みなでそれについて質問していく、というものだ。自己紹介の時点ではまだ緊張していた参加者が、ゲームを通じて徐々に打ち解けていく様子が見られた。また、それぞれの参加者の価値観や、これまで生きてきた人生の軌跡が、自然に表現されるような場であったように思う。

質問ゲームの後には、「愛」に関する5つの問いについて、グループに分かれて対話を行った。この日の問いは、「愛って何?」「愛と恋の違いとは?」「愛があればお金はいらない?」「友達以上恋人未満ってどこからどこまで?」「ひとは愛することと愛されることのどちらが好き?」というものであった。長時間の対話で疲労の色も見られたが、日頃深く考えることのない「愛」についてじっくりと考える、希少な機会となった。

このイベントの特色は、出会いを求めているわけではない地元住民や、イベントのスタッフ、新聞記者などの方々も、対話に参加した点だ。対話の中では、同じ地域で共に生きる住民として、また、人生の先輩として、「愛」についての多様な見方を提示して下さった。

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通常、婚活パーティーといった場では、参加者は自分にとって特別な人となる「たった一人」を探しにくるのであり、残念ながら、残りの参加者は「どうでもよい人」、参加者以外のスタッフなどは「関係ない人」に見えるものである。それはイベントの性質上、仕方がない。しかし、今回のイベントでは哲学対話を通じて、特別な一人以外にも、たくさんの「素敵な人々」に出会う経験が起きたように感じた。対話の後の立食パーティーでは、一輪の壁の花もなく、参加者同士が楽しく語り合っていた様子が印象的であった。

男女の出会いを促進するとか、地域への定住を促すといった目的に、哲学対話がどれほど寄与できるかについては、課題も多くある。しかし、その可能性の萌芽がたしかに見られたイベントであった。参加者のみなさんが、あの日の出会いと思索とを、今後それぞれの人生に生かしてくださることを願う。

(神戸和佳子)

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