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梶谷真司「邂逅の記録54:ハワイ大学との共同サマーセミナー(1)」

2013.09.17 梶谷真司, 東西哲学の対話的実践

昨年に続けて、今年もハワイ大学との共同でサマーセミナーが行われた。昨年はこちらがハワイへ行ったが、今年はハワイの人たちが日本に来た。期間は8月5日から24日までの3週間の開催となった。講師は前回同様、ハワイ大学のロジャー・エイムズ先生と石田正人先生、東大の中島隆博先生と私が務め、学生はハワイ大学から8人とアメリカ本土から教員を含めて3人、東大から学生が9人(うち学部生1人)、UTCPのスタッフが5人、全部で合わせて25人が参加した。今年のセミナー全体のテーマは、Practicing Philosophy(哲学の実践)である。最初の2週間は東京で、最後の1週間は金沢の鈴木大拙館、西田幾多郎記念館を訪問し、そのあと福井の永平寺で一泊研修、さらに鳥取の禅寺・天徳寺で2日間の研修を行った。

今回は、私たちがホスト役として、いわば昨年の恩返しをする番である。教員としては、授業の準備をするのはもちろんだが、上で書いたように、いわゆる授業以外に1週間以上にわたる研修旅行があるため、スケジュール調整、交通手段や宿泊先の手配をはじめ、相談や連絡、決定しなければならないことが多く、様々な準備が必要になった。これは長年国際交流の実績を積んできたUTCPにとっても初めてのことで、暗中模索の部分もあった。しかし、スタッフと昨年参加した院生を中心に、文字通り大奮闘して準備を進め、アメリカの人たちを迎えてくれた。

また今回は、中島先生が昨年から準備して今年から始まったサマープログラムの一つとしても位置づけられ、大学公認のセミナーになった。そうした経緯もあり、今回のセミナーのために、海外からの短期滞在者用の図書カードや、保健センターの利用証の発行など、東大のなかでまったく前例がないことも試みた。このように公的な枠組みのなかに入ったことは、昨年からUTCPが始めたこのような活動の先駆性と将来性を示しているが、逆に道なき道を進むようなところがあった。そのために関係部署の事務の方々が、できうる限りの協力をしてくださった。

今年も昨年に引き続き、このセミナーのために上廣倫理財団のほうから寛大な追加支援をいただいた。このような初めて続きで、しかも成果がすぐには出ない長期的展望をもった企画に対して、多大なるご理解とご協力をいただけることは、今日のようにすぐに費用対効果や成果を求められる時代においては、本当に得難く貴重なことである。報告をするにあたり、まずは財団の方々に心よりお礼申し上げたい。

(続く)

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