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梶谷真司「邂逅の記録26:オギュスタン・ベルクとの再会」

2012.11.08 梶谷真司

1999年の11月13日、関西大学で行われた現象学会の年次大会で、ベルク氏は「風土の通態性について」というタイトルで講演をした。そのさい私は、会場からの代表質問を担当する機会を与えられた。学位を取得して2年後のことだった。当時、私の質問は、おもに主観性と客観性の関係を巡るものだった。

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それから13年が経った2012年11月6日、今度はコメンテーターとして彼の横に座った(かつては遠く離れたところから質問していた)。彼の思考はおそらくそれほど大きく変化したわけではない。しかし、私の読み方は変わっていた。私は最近、現実の多元性や多層性という問題に取り組んでおり、講演原稿を読んで、これは通態性や風土性の問題と密接に連関しているということに気づかされた。この間に私も多少は進歩したのだろう。私の問い、考えは、彼に近づいていた。私にとってこの再会は、自らの遥かな回り道の果てに、より正面から彼と向き合い、自分の辿ってきた道程を振り返るいい機会となった。

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このような僥倖は、人生における恵みである。そのめぐり合わせと、そのきっかけを作ってくれたベルク先生とUTCPの仲間に感謝したい。

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