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梶谷真司「邂逅の記録1:新生UTCPスタートに際しての挨拶」

2012.06.15 梶谷真司

 新生UTCPがスタートした。

 これまで21世紀COE、グローバルCOEと10年間にわたって、「共生」というテーマのもと多彩な活動をし、国内外に広範なネットワークを築いてきた。そして何より、若手研究者を多く育ててきた。それは多くの人々の有形無形の力によって支えられ、小林康夫と中島隆博という二人の強烈なリーダーによって牽引されてきた。
 COEの終了後UTCPも、あるいは幕をいったんは閉じることになったかもしれなかった。けれども、上廣倫理財団の寄付により、新たなステージが開かれた。それは哲学・思想の運動を支援するという財団の理念と、10年かけて鍛え上げてきたUTCPの精神との稀有にして幸運な出会いである。
 そのめぐり合わせと、そこで注ぎ込まれた思いと努力のすべてに感謝し、UTCPのこれからに自らの存在価値を賭けてみたい。石井剛、石原孝二という世代を同じくする仲間とともに。

 と、とりあえずは、前置きとして、多少とも格式ばった決意表明的なものを書いてみた。しかし、私は「安請け合いのたんなる運命論者」であって、自分がUTCPについてしたり顔で語る必然的な資格があるなどと思ってはいない。そもそもUTCPと私、小林先生と中島先生、前助教の中澤さん、事務の立石さん、石井さん、石原さん、ハワイ大学の石田さん、そして新メンバーのPD、RAのみんな、そして上廣財団の人たち──そうしたすべての出会いが、私にとっては、理由のよく分からない、しかもごく最近のめぐり合わせなのである。「はい」「ええ」「へえ」と安易な返事を重ねているうちに、大きな渦に巻き込まれ、その後は場当たり的に何とかもがいているうちにここに至った。
 私は昔から、運命には逆らわないことにしている。結果がどうなろうと、運命に逆らう生き方は不幸だ、というか、間違っていると思っている。流れに飲み込まれたら、それに身を任せ、やがてはその流れを自分のものとし、必然に変えるのだ。そうやって生きてきた私にとっても、今度の波はでかい。どこへ行き、どんな景色が見えるのか。どんな出会いがあるのか。今は見当もつかない。が、それだけに楽しみだ。

 みなさん、皆々様、同志と友と仲間たち、すでに出会った人たち、そしていつかどこかで出会う人たち、みんな、みんな、よろしくお願いします。

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