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【報告】イヴ=アラン・ボワ教授レクチャー+ワークショップ

2011.02.28 近藤学, イメージ研究の再構築

2010年9月、UTCP中期教育プログラム「イメージ研究の再構築」はイヴ=アラン・ボワ教授(プリンストン高等研究院)を招聘し、14日にレクチャー「〈似て非なるもの〉を思考する」、15日には林道郎教授(上智大学)を迎えてワークショップ「モダン・アートの時間=速度論」を開催した。

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【ボワ教授】

近現代美術研究を牽引する存在としてつとに知られるボワ氏だけに、レクチャーでは100名を超える聴衆を得ることができた。翌日のワークショップは事前登録制で通訳なし、3時間の長丁場だったが、こちらも熱心な参加者が集まった。

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ボワ氏のメッセージの核となっていたのは、造形作品であれ言説であれ、論じる対象に徹底して密着することの重要性である。レクチャーでは、時代も文化的コンテキストもまったく異なるにもかかわらず、形態のうえでは驚くほど似ている美術作品の例を次々に紹介しながら、それぞれの事例の形態的、物理的、歴史的特殊性に目を向け、あえて同一性ではなく差異を読み取ることの意義が力説された。ワークショップでは主として20世紀中葉のアメリカ画家アド・ラインハートをめぐって、ほとんど眼に見えないほどの微細な物質的細部を時間をかけて知覚していくといった行為(ラインハートの作品はまさしくこうした知覚様態を要請する)が独特な快楽をもたらすだけでなく、ある種の批評性をはらみうることが明らかにされた。

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【ボワ、林両教授】

氏はそれぞれに関連する内容の論文をちかぢか刊行予定とのことであるし、レクチャーに関しては、UTCP事業推進担当者・田中純氏による行き届いた評が読めるので(⇒こちら)、詳しく内容を要約することは控えるが、諸用務のさなかに二度のイベント開催に応じてくださったボワ氏、さらに、ワークショップ参加をご快諾くださり、いつもながら充実した発表や縦横無尽なコメントで場を活気づけてくださった林道郎氏、耳を傾けてくださった来場者の方々にもこの場を借りて深く御礼申し上げたい。
(近藤学)

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