【刊行】信原幸弘・原塑・山本愛実編著『脳神経科学リテラシー』
UTCP事業推進担当者の信原幸弘さん,元UTCP特任研究員で現在は東北大学准教授の原塑さん,玉川大学の山本愛実さん編著の『脳神経科学リテラシー』が勁草書房より刊行されました.
UTCPのPD研究員である中澤栄輔さん(第3章),共同研究員の植原亮さん(第9章,第11章)と立花幸司さん(第6章)も執筆しています.
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【書誌情報】
信原幸弘・原塑・山本愛実編著『脳神経科学リテラシー』勁草書房,2010年.
ISBN-10: 4326102012
ISBN-13: 978-4326102013
【目次】
はしがき
第1章 脳神経科学リテラシーに向けて
1.文理横断的な知識の必要性
2.脳神経科学の社会的有用性
3.応用に伴うリスク
4.求められる脳神経科学リテラシー
Ⅰ 認知機能の脳神経科学
第2章 知覚:環境変化の見落としについて
1.見落としの視覚心理学
2.脳内の二つの視覚メカニズム:腹側路と背側路
3.変化盲の脳神経科学的実験①:機能的磁気共鳴画像法
4.変化盲の脳神経科学的実験②:経頭蓋磁気刺激法
5.日常生活にどう関わるか
第3章 記憶:偽記憶研究の現在と未来
1.裁判員制度と記憶研究の接点
2.人間の記憶システムと偽記憶
3.偽記憶研究の実験
4.応用可能性と問題点
5.社会的な問題との結びつき
第4章 自由意志:常識的な見方を問い直す
1.無意識的な過程の役割:心理学の知見
2.無意識的な脳の活動が行為を引き起こす:脳神経科学の知見
3.自由意志は錯覚か?
第5章 意思決定:薬物依存と意思決定の歪み
1.薬物使用の実態
2.意思決定における脳の状態
3.報酬の価値と時間の関係
第6章 道徳:理性主義と感情主義
1.道徳とは何か
2.哲学の3つの理論:道徳の理性主義①
3.発達心理学の段階説:道徳の理性主義②
4.脳神経科学の知見とインパクト:道徳の感情主義
5.道徳観への影響とリテラシー
第7章 信頼:社会性の神経経済学
1.秩序問題
2.社会的交換理論からの秩序問題へのアプローチ
3.信頼にかんする脳神経科学
4.信頼の向上による社会の増強可能性
Ⅱ 脳神経科学と社会
第8章 マインド・リーディング:脳から人の心を読む
1.イメージング技術
2.イメージング技術を用いた虚偽検出
3.マインド・リーディングの倫理的問題
第9章 ブレイン・マシン・インターフェイス:脳と機械を結びつける
1.侵襲型BMI
2.非侵襲型BMI
3.BMIの今後の発展と社会的影響
第10章 精神疾患:心の病から脳の病へ
1.精神疾患と脳神経科学
2.うつ病の脳神経科学
3.脳神経科学的な見方の問題点
第11章 スマートドラッグ:薬物によるエンハンスメント
1.リタリンをめぐる現状
2.リタリンの効果と限界
3.スマートドラッグ開発の将来
4.社会的影響
第12章 教育:神経神話を問い直す
1.脳神経科学と教育
2.三歳児神話
3.将来的な可能性
第13章 加齢:認知機能の変容
1.振り込め詐欺と高齢者
2.加齢による認知機能の変容
3.なぜ高齢者は虚偽を信じやすいのか
4.加齢による意思決定の変容
5.振り込め詐欺被害を食い止めるために
第14章 広告利用:脳トレ広告にみる脳神経科学言説の信頼性
1.fMRIの商業利用の問題
2.脳神経科学情報がもつ説得力
3.脳トレの販売戦略
第15章 脳神経科学によるイノベーションの創出
1.イノベーションが必要とされる理由
2.産業構造の転換
3.脳神経科学に基づくイノベーションの可能性
4.脳神経科学リテラシーの必要性
あとがき
図表出典一覧
人名索引
事項索引