パレスチナ/イスラエルより(01)――ガザ戦争から1年
2010.01.01
早尾貴紀
年末からパレスチナ/イスラエル出張。国際セミナーに出たり、これからUTCPで招聘する研究者と打ち合わせをしたりといったことが主な用務です。そして今年はここで年越しです。
昨年の今頃は、ちょうどイスラエルが猛烈なガザ地区攻撃をしていたときで、12月27日から1月18日まで続きました。それから1年。
12月31日には、パレスチナ人、イスラエル人、海外の支援者など、1000人前後が、封鎖されたままのガザ地区の検問所に集まって集会がありました。
UTCPでは、その直後の3月に、ガザ地区研究の専門家サラ・ロイさんを招いて講演などの企画をもち、また、その記録を中心にして、『ホロコーストからガザへ』(青土社)を刊行しました。
ガザ攻撃からちょうど1年が過ぎますが、あからさまな攻撃がやむと、人びとの関心はすうーっと引いていきます。しかし、ガザの封鎖はそのまま続いており、占領と隔離とはむしろ悪化の一途を辿っています。しかもそれは、不可視化していっており、現地にいても、何も打開策のないまま、坂道を転がり落ちていっているような感覚にとらわれます。
世界は、この小さな人口密集地が封鎖され、巨大な監獄状態になっていることを、いつまで許しているのでしょうか。少なからずの意思表示をする人びとが結集しましたが、まだまだ無力です。
「共生」の理念は、たとえば、具体的にこの状況に対してどう取り組むのか、そういうところに賭けられているということを痛感します。
ガザの一歩手前にて。