【報告】現代芸術研究会
本研究会は、おもに1960年代以降のアメリカ現代美術を中心とし、作品の観察、分析、テキスト読解、実験を通じて、現代芸術の制作=批評行為の諸問題を明らかにすることを目的としています。
作品はどのようにして生成するか、批評行為としての作品制作をどのようにして分析するか。そのような問題に対して、たんに過去の作品群を歴史化することに留まらず、むしろ生きた現在にひきずり出して再展開する――そのための理論的・実践的な方法論を探究しています。
今後は、これまでの研究会において浮上した、芸術経験の潜在性にフォーカスした〈実験芸術学〉の方法論を、実践的に研究していく予定です。
代表:平倉圭(UTCP)、荒川徹(UTCP)
*第7回 2009年1月23日
哲学者ダニエル・デネットによる意識の〈多元的草稿モデル Mulltiple Drafts Model〉を扱い、ミリ秒単位で進行する意識の時間性について考察した。
テクスト:
Daniel C. Dennett, Consciousness Explained (New York and Boston: Back Bay Books, 1991).〔ダニエル・C・デネット『解明される意識』山口泰司 訳(青土社、1998年)〕
ほか
*第8回 2009年2月20日
視覚フィードバックが身体イメージに与える影響について、左右鏡像の簡単な実験や、ヴィデオ映像を用いた体外離脱実験に関する近年の論文などを扱い、実験芸術学の可能性について考察した。
テクスト:
H. Henrik Ehrsson, “The Experimental Induction of Out-of-body Experiences,” in Science 24, vol. 317, no. 5841 (August 2007): 1048.
B. Lenggenhager, T. Tadi, T. Metzinger and O. Blanke, “Video Ergo sum: Manipulating Bodily Self-Consciousness,” in Science 24, vol. 317, no. 5841 (August 2007): 1096-1099.