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スティーヴ・フラー『知識人として生きる――ネガティヴ・シンキングのポジティヴ・パワー』刊行

2009.12.20 住田朋久, 出版物

UTCP共同研究員の住田朋久さんが共訳者として、翻訳された『知識人として生きる』が出版されました(スティーヴ・フラー、『知識人として生きる――ネガティヴ・シンキングのポジティヴ・パワー』、村上陽一郎・岡橋毅・住田朋久・渡部麻衣子共訳、青土社、2009)。

著者のスティーヴ・フラーはアメリカ生まれの科学哲学・科学社会学者(あるいは、この本に従えば、知識人)で、現在イギリス・ウォーリック大学社会学部教授です。フラーは英語圏の科学論を代表する人物のひとりであり、彼の立場は社会認識論として知られています。社会認識論には分析哲学におけるものなどもありますが、フラー自身の社会認識論は知識社会学に規範性を持ち込んだものと言え、その分析対象となる知識には、科学的知識だけでなく、哲学的知識も含まれます。

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今回、翻訳された『知識人として生きる――ネガティヴ・シンキングのポジティヴ・パワー』は、もともと一般向けに書かれたもので、アカデミアから失われつつある知識人として生きるというのはどういうことなのか、マキアヴェッリの『君主論』を手本としながら、フラー特有のレトリックを駆使して書かれたものです(アカデミック版と呼べるものとして、The Sociology of Intellectual Life: The Career of the Mind in and Around Academy. Sage, 2009が出版されています)。今月はこの他にも、『ナレッジマネジメントの思想――知識生産と社会的認識論』(新曜社)と『我らの時代のための哲学史――トーマス・クーン/冷戦保守思想としてのパラダイム論』(海鳴社)が二冊翻訳出版されています。特に後者の『我らの時代のための哲学史――トーマス・クーン/冷戦保守思想としてのパラダイム論』はフラーの主著と言って良いものであり、従来のクーン解釈に一石を投じるものとして、英語圏で出版当時、激しい論争を引き起こしました。今回一挙に三冊の著書が翻訳刊行されることで、フラーの社会認識論がより多くの方に知られるようになれば、喜ばしいことです。

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