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時の彩り(つれづれ、草) 067

2009.05.11 小林康夫

☆ 急告(15日金曜Ⅴ限の講義は休講です)

「時代と無意識」プログラム。15日はベンヤミンの「せむしの小人」のフギュールをめぐる第4回のセッション、いよいよ「歴史哲学テーゼ」を扱う予定でしたが、わたしの父の逝去にともなう葬儀がこの日になりましたので、やむをえず休講とします。

出席者のみなさんご了解ください。この分はスケジュールの再調整を行って補いますが、22日のセッションは予定通り「アート第2回」でブランクーシを取り上げることにします。


この一月あまり、ちょうど4月に読んでいたブランショのテクストのように、死に逝く者の傍らで、けっして分有できない出来事なき出来事を耐えるという作業をしてきたこともあって、昨日、今年最初の「夏の日」の午後、大きく空が見える病室で父が息をひきとったその静かさに、悲しみが深いというよりは、不可能な「やさしさ」がなしとげられたような不思議な感覚を味わいました。

カフカを論じるベンヤミンが引用するマールブランシュではないが、「魂の自然な祈り」に通じるなにか。微笑とともに父をおくることができたのはある種の「grace」であったのかもしれません。

(家に帰って、親しい人の死に際していつもそうしているように、ポリーニの弾くショパンのピアノソナタ第2番第3楽章のトリオに耳を傾けたときに涙が頬を落ちなかったわけではありませんが)。

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