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時の彩り(つれづれ、草) 064

2009.04.08 小林康夫

☆ クリストファー・フィンスクさん

新年度がはじまり、桜吹雪が舞い散るうららかな日和の昨夜。五反田の駅前で待ち合わせてフィンスクさんと会う。

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実は、パリのドミニク・レステルさんからの紹介ということで、日本に行くから会いたいと連絡があったのは一月ほど前か。そうしたら実はUTCPでも1年前にお呼びしようかと若い人たちが計画していたということもあって、それならとブランショについての講演を17日に企画することにしたのだが、それとは別にフィンスクさん、今回は日本における料理のspiritualityをもとめての旅だときいて、それならと、会ったこともない相手、突然降ってきた話なのに、わたし自身がそういうものを感じたことがある料理店に連れて行ってあげようじゃないの、どうも江戸っ子の心が刺激されたらしい。

で赤坂のあるお店にお連れした。話しているうちに、二人とも時期は違うがデリダの授業に出ていたということが分かり、それならスリジー・ラ・サルの第1回のデリダ・コロックにいた?となったら、ちゃんと二人ともいて、ほら、わたし最後の総括集会で変な発言したでしょう? そう、きみはぼくの後ろのこのあたりの席にいたんだ、・・・とまるで同窓会の雰囲気。さらには、かれもジャン=フランソワ・リオタールととても親しかったことがわかって、ジャン=フランソワ死んでしまってさみしいよね、としんみり。少し感傷的だが、櫻にふさわしい夜だったと思う。同じ精神の流れを分かちもつ「友人」がこんなに世界にいるんだとしみじみ感じられた。単に学会で発表するというのとはちがう、もっと深いところを流れている精神のあり方。そんなことに思いが行ってしまうのも、わたしが年をとったということかもしれないが。

で、17日は、フィンスクさん、ブランショの 「L’entretien infini」の冒頭の無題のダイアローグについて語ってくることになっている。わたしも久しぶりに読み返しているところ。木曜Ⅱ限の後期課程の授業では明日と来週の2回はこのテクストを読むことにする。今年度、最初の海外からのゲスト。どうぞご参加ください。なお、講演はフランス語で行われる予定です。

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