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【報告】短期教育プログラム「イメージの作法」

2008.12.30 └イメージの作法, 井戸美里, 河村彩, 宇野瑞木

 イメージを読み解くことはどのような行為によって可能になるのか。本研究会は、一つの有効な理論的枠組を導き出すことのみを最終的な目標としているわけではない。イメージを成り立たせるさまざまな要素――作品内部の様式的側面から、制作者あるいは受容者との関わり、政治性、鑑賞され、上演される場など――を考慮にいれつつ、それぞれのイメージへのアプローチを模索しようという試みである。

 これまでの研究会の総括として、11月21日、各自の研究テーマでシンポジウムを行なうこととなった。このシンポジウムは、こうしたテーマのもとで約1年に渡って行われた研究会の活動の中間成果を各自報告し,議論の俎上に乗せることを目的としている。当日の議論を受けた上で、各人の発表を論集『表象文化論研究』として編纂することを予定している。

主催:井戸美里(UTCP)、坂口さやか(東京大学大学院博士課程)

これまでの研究会:

★第1回 2007年10月31日
対象テキスト:T.J.Clark (Timothy James Clark), Farewell to an Idea: Episodes from a History of Modernism, Yale Univ. Press, 1999.
発表者:河村彩(東京大学大学院博士課程)

★第2回 2007年11月8日
発表者:坂口さやか 本田晃子(東京大学大学院博士課程)
坂口「ルドルフ二世の帝国理念表象について」
本田「イワン・レオニドフのマグニトゴルスク・プロ ジェクトについて」

★第3回 2007年12月12日
対象テキスト:千野香織「日本美術のジェンダー」『美術史』43(2)、1994年3月
千野香織・亀井若菜・池田忍「ハーヴァード大学美術館蔵『源氏物語画帖』をめぐる諸問題」『国華』1997年8月
発表者:井戸美里(東京大学大学院博士課程/UTCP)

★第4回 2008年1月30日 
「イメージは踊る、イメージを踊る―『残存するイメージ』から『孤独のダンサー』へ」
対象テキスト:
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『残存するイメージ――アビ・ヴァールブルクによる美術史と幽霊たちの時間』(人文書院、2005)
Georges Didi-Huberman, Le Danseur des solitudes, Paris : Minuit, 2006.
発表者:竹内孝宏(東京大学)

★第5回 2008年3月10日
対象テキスト:
エドガー・ヴィント(Edgar Wind)の以下の三編
「神的な恐怖(『法律』第二巻671D)―プラトンの芸術哲学について」『シンボルの修辞学』
「秘儀の言語」「徳と快楽の和解」『ルネサンスの異教秘儀』
発表者:坂口さやか(東京大学大学院博士課程)

★第6回 2008年4月18日
対象テキスト:ウー・ホン『屏風のなかの壷中天―中国重屏図のたくらみ』(中野美代子・中島健訳 青土社 2004)
発表者:宇野瑞木(東京大学大学院博士課程/UTCP)

★第7回 2008年6月3日
「『1767年のサロン』を読む:サロン批評・肖像・廃墟」
発表者:大橋完太郎(東京大学)

★第8回 2008年6月20日
対象テキスト:Charles Baudelaire, 'Salon de 1846'
発表者:伊藤綾(日本学術振興会特別研究員)

★第9回 2008年8月1日
対象テキスト:MALLARMÉ, The Impressionists and Edouard Manet
「印象派の画家たちとエドゥアール・マネ」『マラルメ全集Ⅲ』
発表者:郷原佳以(関東学院大学文学部比較文化学科)

★第10回 2008年9月29日
対象テキスト:
1. RHYS ROBERTS, W., Longinus On the Sublime, Cambridge University Press, 1899, pp. 82-91.
2. MALM, Mats, “On the Technique of the Sublime”, Comparative Literature, vol. 52, no. 1. (Winter, 2000), pp. 1-10.
発表者:星野太(東京大学大学院博士課程)

★第11回 2008年11月21日
学生シンポジウム「権力と表象(1):イメージの作法」
発表者および発表タイトル:
坂口さやか「政治権力メカニズムとしての神話イメージ―ルドルフ二世のプラハ宮廷におけるウェヌス・ミネルウァ・サトゥルヌス」
星野太「イメージの創造と媒介:偽ロンギノスにおける言葉と表象」
伊藤綾「「現在の表象」、表象の危機――ボードレール「現代生活の画家」をめぐって」
河村彩「幾何学的抽象を受け継ぐのは誰か?:アメリカとソヴィエトにおけるスプレマチズム、構成主義の再解釈をめぐって」
本田晃子「建築と演劇の零度  構成主義運動における労働者クラブ建築」
宇野瑞木「後漢時代の孝の表象――武氏祠堂画像石の扶桑と雲気のモチーフについて」
井戸美里「錯綜する大陸の風景――《四季耕作図屏風》の景観描写をめぐって」

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