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【報告】短期教育プログラム「哲学と大学」

2008.12.30 └哲学と大学, 藤田尚志, 宮崎裕助, 西山雄二

 哲学を通じて、大学において、現在、私たちは何を知りうるのか、何をなすべきか、何を希望することを許されているのか。

 近代の大学の誕生は、哲学の学問的覇権の確立と不可分である。フンボルトのベルリン大学建設以来、哲学は学問の有機的統一性を保証し、大学の理念を支えるものとされてきた。大学における哲学の地位の後退は、それゆえ、20世紀を通じて明らかになる「哲学の死」と深く関係する。また、哲学の他分野(文学・芸術・社会・政治・人類学・精神分析)との混交によって、伝統的な人文学の枠組みは複雑な仕方で変容し続けている。

 本共同研究の目的は、各哲学者の大学論を批判的に考察することで、哲学と大学の制度や理念との関係を問い直すことである。これは哲学と大学をめぐるある種の「没落の歴史」の考察となる。

 カント、フンボルト、フィヒテ、シェライアーマッハー、シェリング、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガー、オルテガ、ヤスパース、デリダ……近代において、ほとんどの哲学者は大学教師である。彼らはその歴史的・社会的状況において、教師として大学制度のなかでどのように振舞ったのか。彼らはその大学論においていかなる哲学的主張を展開しているのか。そうした大学論は彼らの哲学の理論や実践においていかなる位置を占めるのか。哲学と大学をめぐる議論のなかから、各哲学者の教育法や教育論、学問論、教養論、人間論、人文学論といった主題も浮かび上がってくる。

 本研究会はこれまで5回の研究会とシンポジウムおよびワークショップを実施し、当初の予定を終了した。その成果は来春、論集『哲学と大学』(未来社)において公表される。

主催:西山雄二(UTCP)、宮崎裕助(新潟大学)


これまでの活動(肩書きは当時のもの)
各会のブログ報告は ⇒ こちら

●第1回 2007年11月1日
「ビル・レディングス『廃墟のなかの大学』の衝撃」
発表者:西山雄二(UTCP)
参考文献:ビル・レディングズ『廃墟のなかの大学』青木健・斎藤信平訳、法政大学出版局、2000年。

●第2回 2007年12月6日
「カント『学部の争い』」
発表者:宮崎裕助
参考文献:
「諸学部の争い」角忍他訳、『カント全集18』岩波書店、2002年。
「学部の争い」小倉志祥訳、『カント全集13』理想社、1988年。

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●第3回 2008年1月28日
「フンボルトにおける大学と〈教養〉」
発表者:斉藤渉 (大阪大学大学院言語文化研究科准教授)
参考文献:
W. v. フンボルト『人間形成と言語』、C. メンツェ編、K. ルーメル、小笠原道雄、江島正子訳、以文社、 1989年。(「ベルリン高等学術施設の内的ならびに外的組織について」、 「ベルリン大学設置申請書」、「ケーニヒスベルク学校計画」、「リトアニア学校計画」などを収録。)

●2008年2月23日
シンポジウム「哲学と大学―人文科学の未来」
・「ヘーゲルにおける大学と哲学」
発表者:大河内泰樹(埼玉大学他非常勤講師) コメント:岩崎稔(東京外国語大学)
・「哲学、教育、大学をめぐるジャック・デリダの理論と実践」
発表者:西山雄二(東京大学) コメント:鵜飼哲(一橋大学)
・「ヨーロッパの高等教育再編と人文科学への影響」
発表者:大場淳(広島大学) コメント:藤田尚志(学術振興会特別研究員)
・全体討議「日本の大学の現状と人文科学の未来」
岩崎稔、鵜飼哲、大場淳、小林康夫(UTCP)

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●2008年3月17日
【関連イベント】「高学歴ワーキングプア―人文系大学院の未来」
講演者:水月昭道(浄土真宗本願寺派僧侶、立命館大学研究員)

●第4回 2008年4月30日
「条件付きの大学―フランスのエリート教育の光と影」
発表者:藤田尚志 (学術振興会特別研究員)
参考文献:
ジャック・デリダ『条件なき大学』西山雄二訳、月曜社、2008年。
マリー・ドュリュ=ベラ『フランスの学歴インフレと格差社会―能力主義という幻想』林昌宏訳 、明石書店、2007年。

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●第5回 2008年7月3日
マックス・ウェーバーの学問論―大学のアメリカ化と知識人の「責任」
発表者:野口雅弘 (早稲田大学政治経済学術院・助教)

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●2008年9月19日
ワークショップ「大学の名において私たちは何を信じることを許されているのか」
・「ニーチェ的意味における哲学と大学」
竹内綱史(学振特別研究員) 司会:宮崎裕助(新潟大学)
・「研究空間スユ+ノモ」の挑戦@韓国・ソウル
西山雄二(東京大学)
・公開討議「大学の名において私たちは何を信じることを許されているのか――『現代思想2008年9月号 特集:大学の困難』(青土社)をめぐって」
発言:大河内泰樹(京都産業大学)、斉藤渉(大阪大学)、藤田尚志(学振特別研究員)、宮崎裕助(新潟大学) 司会・応答:西山雄二

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