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時の彩り(つれづれ、草) 052

2008.12.14 小林康夫

ヨンセイ大学のペク(白永瑞)先生のお招きで冬のソウルを訪れた。21世紀COEの時代のUTCP第四部門とは密度の濃いおつきあいをいただいた。今回は、今年のはじめまでUTCPのPD研究員だったキム・ハンさが通訳を引き受けてくれるので自由に喋ってほしい、と。

と、言われても、わたしとしては、新しいトピックを用意することも苦しく、結局、今年1年を振り返りながら、「〈人間の思考〉の責任」について、ブエノスアイレスからパリにかけて考えてきたことを、ひとつの経験として語るということにした。

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実は、その日の朝の夢で、なぜか——現実にはそのような姿を一度もみたことはなかったのだが——酔っぱらったジャック・デリダ!が泣きながら、なんできみはわたしの家に来ないのか、とわたしを非難する夢をみてしまった(もちろん夢のなかで必死に、わたしは「そんなこと言ったって、先生の家に呼ばれもしないでいけるわけがないでしょう」と抗弁していたが——ので、その話を「枕」に、学年末試験の忙しいときに部屋がいっぱいになるほど集まってくれた(30名くらいか)の主に若い聴衆に、グローバル時代の「資本」と「システム」の論理に対して、「人間の思考」の根拠と責任を語ったのだった。なかなか鋭い質問も出て活発な議論も含めて2時間半、キムさんのすばらしい通訳に助けられて、わたし自身も楽しく有益な時間をすごさせていただいた。キムさん、ペク先生にあらためて感謝します。

その夜はインサドンでおいしい野菜中心の料理をごちそうになりがら、今後、ペク先生のプログラムとUTCPのあいだでどのように実質的な研究交流を実践するか、いろいろな角度から意見交換をしました。来年より具体化したいと思っています。

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