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中期教育プログラム「時代と無意識」スタート!

2007.10.23 小林康夫, 時代と無意識

第1回(10月16日)

 UTCPセミナーとしては第1回(大学院授業としては第2回)にあたるこの日は、わたし(小林)が「時代」という問題設定について、主に雑誌『未来』(未來社)で10月より連載をはじめたテクスト「歴史の真理にむけて(思考のパルティータ)」(本サイトの「哲学の樹」にもその第1回分がアップしてあります)を基にして説明をしました。

問題の要点のひとつは、モデルニテにおける「時代」の成立が、人間に「意味」という問題を提起したことを踏まえて、その「意味」の「意味」を問うこと、さらには「意味の彼方」を展望することでした。ハイデガー、ドゥルーズ、ベンヤミンなどのケースについて、活発な議論が行われました。

 わたし個人にとっては、出席者のひとりであったPDの早尾さんが提起したイスラエル建国のイデオロギーが、ハイデガー哲学やドイツ観念論哲学に依拠してしまったという思いがけないコメントがたいへん刺激的でした。それに対して、外的なきわめて暴力的な仕方で建設されたイスラエル〈国家〉が明らかにした、〈国家〉の、ほとんど「神的とも言いうる」本来的な〈暴力〉について語り考えることができたことは大きな収穫でした。この問題は言うまでもなく、ベンヤミンの「暴力論」等にも直接的な関係があり、今後、探求するべきフィールドの険しさが垣間見えました。(小林康夫・記)


以下は予定です。

◆第2回(10月21日)
 UTCP講演会・リシャール・ピナス「ドゥルーズと音楽」
 (千葉さんがコメントすることになっています)

◆第3回(10月30日)
 前回の講演を受けて、ドゥルーズにおける「意味」の問題を考えます。

◆第4回(11月6日)
 ハイデガー哲学における「時代」と「意味」の問題についての基本的なアプローチをする予定です。

◆第5回(11月13日)
 UTCP特任研究員の西山さんを迎えて、モーリス・ブランショにおける「時代」の意味について発表してもらいます。これはUTCPの公開ワークサロンとする予定です。

◆第6回(11月20日)
 UTCP講演会になります。高桑さんを迎えてのミシェル・フーコーについての講演です。

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