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時の彩り(つれづれ、草) 005

2007.10.01 小林康夫

 挨拶(UTCP第2期本格始動)

 今日からいよいよ、若手研究者たちも正式の雇用。UTCPとしてはようやく本年度の陣容が揃った形になった。本格始動の「とき」。リーダーとしては、新しいUTCPが、既存のさまざまな研究組織のコピーはなく、小さな規模であるにしても、国際的な「人と人」のネットワークに裏打ちされた、人文科学研究の新しい風を組織するセンターとなることを願っている。

 とりわけ、事業推進担当者にしても、研究員にしても、若い研究者がみずからの独自の発想と自発的な真のモチベーションに従って、国際的な連携を行い、その成果を発信することに対して、優先的に支援することを明言しておきたい。次いで、重要なのは、われわれが掲げる「共生」という「地平」を開くために、継続的な問題提起を国際的な場で多元的に行うこと。そのためには、疑いもなく、自分の「専門領域」を内破して、みずから他者と出会うことこそが必要だろう。このセンターがそういった「出会い」のための場所となることがわたしの希望である。

 先週の総合文化研究科の教育会議で、来年度より、UTCPが博士課程学生を独自入試で採用することが正式に認められた。UTCPは、研究科の制度に基礎を置いた教育プログラムとして走り出すことになる。採用予定人数は少ないが、その責任は重い。専攻という組織とは違った、より有機的でより開かれ、より「激しい」研究運動体としてUTCPは走らなければならない。そこには、大げさに言えば、人文科学の未来がかかっているとわたしは本気で考えている。小さくとも、激しい「火」として。人間について考えることの新しい深さと拡がりと精密さを、みなさんとともに、追求したい。

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