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【報告】企業が哲学と出会うとき

2024.07.01 堀越耀介

フィルカル×東京大学UTCP(共生のための国際哲学研究センター)の共同開催にて、イベント「企業が哲学と出会うとき:日本における企業内哲学の実際」が開催されました。UTCPからは、上廣共生哲学講座特任研究員の堀越耀介が登壇しました。

イベント開催の趣旨、内容は以下の通りです。※なお、本イベントの内容は、年末の雑誌『フィルカル』に掲載される予定ですので、以下イベントの概要のみを記載させていただくことにいたします。

近年、世界的に、哲学界と企業界の交流が盛んになっています。日本でも少なからずそのケースが見られますが、総じて、その実態はいまだ明らかであるとは言い難く、散見される言説ももっぱら哲学者側からのものです。

しかし「企業内哲学」は、哲学者と企業のあいだの共生の様式のひとつです。そのため、企業内哲学の動向を理解するためには、哲学者の言説だけでなく、企業の側からの声に耳を傾けることが求められます。

そこで今回は、企業内哲学にかかわる企業と哲学者、ふたつの立場から議論を交わすイベントを企画しました。

哲学者側からは、三人の若手研究者がモデレーター・オーガナイザーとして登壇し、企業側からは、2018年に哲学者を監査役として迎え入れた株式会社メタ・辻英人さん、2023年に新規事業開発部門に哲学対話・哲学思考を導入したNECソリューションイノベータ株式会社・松本元延さんのおふたりをゲストスピーカーとしてお招きしました。

とくに以下のような問いが議論の焦点となりました。

・どうして、どのようなプロセスで哲学者を会社に迎え入れたのか?
・会社のなかで哲学(者)は実際どのような《機能》を果たしているのか? またその機能は当初から想定されていたのか?
・哲学者を迎え入れることで社内にどのような《影響》があるのか?(良い面も悪い面も)
・哲学者による「哲学」と一般に言われる経営「哲学」とに違いはあるのか?

NECソリューションイノベータの松本さんからは、外部から哲学者を招いての様々な施策と内部でのひろがり、株式会社メタの辻さんからは、「監査役」として内部に哲学者を招くことの意義がそれぞれ話されました。

会場からは、こうした施策・人事の内部での承認の通し方といったテクニカルな質問から、哲学の在り方といった根本問題まで、幅広く質問・議論がなされ、終始和やかな雰囲気でイベントが執り行われました。

(堀越)

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