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【報告】<現代作家アーカイブ>文学インタビュー第15回:堀江敏幸氏

2019.07.02 武田将明

 2018年6月4日、東京大学駒場キャンパス21KOMCEE East K214教室にて、小説家・早稲田大学教授の堀江敏幸氏への公開インタヴューを実施した。主催はUTCPのほか、飯田橋文学会、科学研究費基盤研究B「世界文学の時代におけるフィクションの役割に関する総合的研究」である。聞き手は都甲幸治氏(翻訳家・早稲田大学教授)。

 このインタヴューは、飯田橋文学会が企画する現代作家アーカイヴ企画の第15回として実施されたもので、毎回、現代の日本語文学を代表する作家が自選の3作を挙げ、それらを中心に作家活動を振り返っていただくというものである。堀江氏は『雪沼とその周辺』(2003)、『魔法の石板』(2003)、『河岸忘日抄』(2005)の3作を指定した。聞き手の都甲氏は、堀江氏と同じ早稲田大学の文学学術院教授であり、互いによく知っている間柄だからこそ可能な、いくらか遠慮のない(しかし親密さにあふれた)質問によって、堀江氏の文学世界の本質というべき特徴を、次第次第に浮かび上がらせていった。


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 トークの冒頭において、一見すると冷静沈着な堀江氏が実は深いところで熱い情念を持っている、といった都甲氏による指摘があったが、このインタヴュー自体が、まさに静かな湖面のごとき堀江氏の心の底にある、忘れられてしまう人々への愛惜の念と、書き記すことへの熱意を徐々にあばいていくかのようで、一編のドラマを見るかのような味わいを感じさせた。
 一時間半のトークと堀江氏による朗読のあと、休憩を挟んで20分ほど質疑応答がなされた。会場からの質問に誠実に答える堀江氏の姿に、作品世界につうじる人間性を垣間見ることができた。


武田将明(東京大学総合文化研究科)

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