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【報告】 Reforming Politics for an Age of Global Warming: with Plato, the Confucians, and Xi Jinping

2016.06.28 梶谷真司, 中島隆博, 川村覚文, 筒井晴香, 佐藤空

2016年6月7日、グレアム・パークス教授 (University College Cork) の講演会が開催された。講演主題は「地球温暖化の時代のための政治改革-プラトン、儒者、習近平とともに」であった。

地球温暖化問題を考える際に、中国やインドといった新興国がこの問題にどう取り組んでいくかが1つの焦点になることは言うまでもない。そして、アメリカなどの西欧諸国がこれらの新興国とどう協調して国際的な政策を実施していけるかが問題解決の鍵となる。このように言葉として述べることは非常に容易であるが、各国の経済状況や利害関係、思想的差異の問題からこれまでも、国際協調はこれまでも容易でなかった。特に、思想と制度の問題に関して、しばしば問題となってきたのは、中国などの新興国が人権や民主主義といった価値観をどの程度受け入れ、制度としても実践していけるかという点である。

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パークス教授によれば、西欧諸国が求めてきた、中国におけるこのような「普遍的なもの」の実践には限界が存在しており、むしろ、中国側の考え方に西欧諸国が合わせることが今後必要になるという。これは、例えば、儒教の考え方を西欧側が理解するということであるが、パークス教授によれば、儒教的な考え方が西欧思想・哲学の中にこれまで全く存在しなかったわけではない。例えば、儒教とプラトンは、人びとが能力や欲求など様々な面で、相異なる存在であるという見方を共有していたのであり、また、「能力」と「徳 (virtue)」を持つ者が統治者とならなければならないという思想は、儒教にもプラトンにもある。そして、近年、習近平はそのような儒教的な伝統に効果的に訴えかけているようにも思われるということだった。

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講演後の質疑応答では、中国の思想的・歴史的伝統を踏まえて、政治的な議論を進める必要があるというパークス教授の見解に共感が示される一方で、教授の主張が資本主義に対してやや懐疑的過ぎるのではないかなどの意見も寄せられた。

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現代の国際政治において、民主主義や人権といった概念が、どの程度、非西欧地域で浸透しているかが問われる場面は数多くある。これらの概念が普遍的に共有されることが望ましいとする意見も一方では強いが、他方で単に西欧的な価値観と制度を押し付ければ良いというものではないという点も頻繁に指摘される。パークス教授の講演は、後者の認識を強く示しているように思われるが、そのような認識に立った時にでは具体的にどのような解決方法がありうるか、という問いは依然として解きがたい難問であり、今後の議論の進展が望まれる。

(文責:佐藤空)

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