【報告】2015年度 高校生のための哲学サマーキャンプ(後編)
2015年7月31日(金)と8月1日(土)の2日間に亘って、「高校生のための哲学サマーキャンプ」が、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・参宮橋)および東京大学駒場キャンパス 21 KOMCEE West 303を会場に開催された。「前編」に引き続き、「後編」として2日目の様子を報告したい。
2日目は場所を東京大学駒場キャンパスに移して行われた。
【第3セッション:エッセイ検討】
第3セッションでは、初日に書いたエッセイのストラクチャーの検討をグループごとに行った。高校生はそれぞれ自分が書いたエッセイの構造を伝えようとし、チューター役の大学院生と同じグループの高校生はそれを聞いてアドバイスをする、という活動である。グループは異なる課題を選んだメンバーになるように構成されていたし、同じ課題であっても必ずしも同じようなテーマ設定をしているわけではないので、高校生もアドバイスをする際には自分ならそのテーマについてどう考えるかという視点でそれぞれ考えて、アドバイスをしていた様子であった。こうしたアドバイスを踏まえて、エッセイの見直しを行った。
【第4セッション:修正エッセイ発表】
第4セッションでは、まずエッセイの修正を行った。当初は様子を見つつ、チューター役の大学院生が適宜声がけをして考えを深めるようにするという予定であったけれども、実際のところほとんどの高校生が集中して自ら推敲する作業に没頭しており、チューターが声をかけるのをやめて見守ることにしようと決めるほどであった。また、第3セッションでの意見交換および検討が功を奏したのか、時折、自分でとったメモをもとにストラクチャーとにらめっこしている様子は微笑ましくもあったし、またキラキラと輝きを放つ“若き哲学者たち”の横顔には羨ましさも感じた。
その後、お昼ご飯を挟んで、午後からは修正されたストラクチャーについてそれぞれ5分ほどの発表を行うという活動をした。第3セッションのはじめのときには「うまくかけていなくて…」と躊躇いがちにグループ発表していた高校生も少なくはなかったが、このときの発表では「自分なりにこう考えてみた」というのを伝えようとしていたし、聴き手も仲間がどのようなテーマ設定をし、何に問題関心を持っているのかを発表から理解しようとしていたように見える。最後のほうは時間がおしてきたこともあってやや駆け足気味ではあったものの、充実したひとときであった。
【閉会式】
閉会式では北垣先生より「この2日間で得たものをぜひ大切にしてほしい」とご挨拶をいただき、梶谷先生ならびに林先生からもお言葉をいただいて、2日間の締めくくりがなされた。全日程が終わった後にお互いに写真を取り合ったり、連絡先を交換したりという高校生どうしの様子が見られた。きっと彼/女らにとっては新しい友達ができた2日間であったろうし、また自らの成長を感じた2日間でもあっただろう。こうした機会に際会できたことは報告者(安部)にとっても嬉しいことであったし、こうした機会はこれからもぜひ継続していただけたらとも思っている。
おそらく今度彼/女らに会えるのは冬の合宿になるであろうか。きっとひとまわりもふたまわりも大きくなっていることだろう。実りの秋をはさんで彼/女らに会えるのが今から待ち遠しい——そんな気持ちになった、夏の2日間であった。
安部 高太朗(UTCP RA研究員/東京大学大学院教育学研究科 博士課程2年)