【報告】P4Eワークショップ:子どものための哲学対話—Philosophy for Children—
2015年8月22日(土)、東京大学駒場キャンパス21KOMCEE 303を会場に「P4Eワークショップ:子どものための哲学対話—Philosophy for Children—」が開催されました。本ワークショップは「NPO法人こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」主催、対象を4歳から6歳までの未就学児およびその保護者として行われました。
3月から月に1度、半年間に渡って開催してきた「子どものための哲学対話」ですが、今回が定期開催の最終回でした。最終回は特別編として、写真ワークショップを開きました。
ひと家族を1グループとして、用意したクジを引くところから、今回のワークショップは始まりました。クジには「きたないように見えるけど、きれいなもの」や、「みえないようで、たしかにあるもの」など、全部で5つの<お題>が書かれています。親子一緒になって駒場キャンパス内を自由に歩き回って、<お題>に即した写真を撮影してもらいました。
<お題>に取り組んでいる間、子供たちは大人の「これを撮ってみたらどう?」といった提案にただ従うのではなく、自分なりに「なにが良いかな?」と探し回る姿が印象的でした。なかには、何の変哲もないコンクリートの壁や、生えている雑草など、「それがどうして、そのお題なの?」とついつい聞いてみたくなるような写真を次々に撮っている子もいました。
撮影を終え教室に戻った後は、各<お題>ごとに、撮った写真とその理由を1グループごとに発表してもらいました。はじめに写真だけを見て、理由を聞くまでの間に「どんな思いが裏に隠れているのだろう?」と想像すると、子供たちが何をどう受け取り、どのようにものを見ているのかを垣間見ることができました。なかでも、目から鱗だったのは、<見えないようでたしかにあるもの>というお題に、「まだ咲いていない花」の写真を撮ってきたグループです。「今はツボミだから花は見れないけど、でもある」という説明に、たしかに!とうなずいてしまいました。
発表の後は大人も子供も円になって、ワークを終えた後の感想を話し合いました。
普段の「円になる対話」とは形式が異なりますが、さまざまなお題を通して「真逆だけど、成り立つものってなんだろう?」と考え、見つけて、写真におさめて、それを他の人に説明してみることで、自分のなぜ?や、他の人のなぜ?に触れることのできる時間を作ることができました。
今回で定期開催は最終回となりましたが、今後もさまざまな問いや方法をもちいて、大人も子供も一緒になって「なんでだろう?」と首をかしげられる場所を設けていきたいと思います。
生出 英梨子(立教大学)