Blog / ブログ

 

時の彩り(ラスト・ラン) 180

2015.03.31 小林康夫

★駒場の櫻も満開。その花のなか、わたしの駒場人生の最後の日となりました。でも、感傷も感慨もないですね。なにかすっきりさわやかです。やれることはやった。それよりも、この新たな「出発」 départ をどのように演じるか、なかなか興味深いところです。
 実際は、4月から青山学院大学総合文化政策学研究科の特任教授として働きつつ、駒場にも、IHSの特任研究員(!)として通ってきますし、このUTCPにも、正式に制度化はしませんでしたが、名誉(?)研究員として顔を出します。このブログも、UTCPのサイトを多少作り替えるときに、わたし自身の個人的なブログ発信が可能になるようにセットアップしていただく予定にしています。
 ですから「さよなら」 Adieu は申しません。それは、わたしには似合わない。それよりも「またね」 A la prochaine ! かな? でも、これまでUTCPの活動に、わたしの言葉に関心を寄せてくださったみなさまに、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。


★3月23日の最終講義+パフォーマンス+春のパーティですが、これは、わたし自身の思いをここに書きつけるよりも、そのあとでいただいたみなさまのメールの言葉を、————ゆるされよ、お断りせずに————部分的に引用させていただきましょう。みなさまから熱い言葉をいただいて嬉しかったです。なんだか、駒場ではじめて「〈小林康夫〉なるものを100%全開した」という感覚がありました。ごめんね、本来的には、わたしって、ああいう人なんです、はい。(まだまだ報告したいこともありますので、4月になってもブログは続きますが、とりあえずの中間休止です。)

1. 「昨晩は、素晴らしい講義と、情熱的なパフォーマンスと、心温まるパーティーで、上質の時間を過ごすことができました。ありがとう。ダンスの最後に、花を投げ入れてあげたかった、と思いました。スペースに点々と散った赤いバラの花びらと花が、とっても良かったです。私は、正面席まんなかに座っていましたけれど,康夫さんが振り回して,花びらが飛び散った時には、バラの香りがふわっと来ました。」(S.I .さん)

2. 「先生の華麗なステップ、そして哲学が3→4へと進化の途にあるといういつもながら目から鱗の話を聞くことができまして本当に感動いたしました。」(M.S.さん)

3. 「最終講義では、ピカソの《アヴィニョンの娘たち》をベラスケスの《ラス・メニナス》と関連付けて再読する試みに眼が開かれました。(削除された)男たち(水夫,医学生,ピカソ),仮面,黒,さまざまなイメージが絵画の周囲に張り巡らされているとなるとまったく見え方が変わってきます。また,「3から4」、「4から5」も興味深く拝聴しました。(.....)
パフォーマンスもいきなりプロと一緒にやるなんてすごすぎです。」(M.K.さん)

4. 「3から4へ、4から5へというテーマは、4人のソリストの方々のパフォーマンスの記憶とともに、これから私の頭を離れないと思います。
今後の小林先生の哲学の展開からも、興味深く勉強させていただきたいと思っております。」(S.S.さん)

5. 「先生の旅の途中のパフォーマンスに触れることができ、感激いたしました。」(S.K.さん)

6. 「講義についてはプロの先生に私がどうこうコメントできる立場ではございませんが、社交ダンスを少々かじった身としましては、先生の舞踏には心底唸りました。ゾンビーダンス(?!)にしても、脳天からお尻の穴を目掛けて体に芯がピンと通っていないと、ただフニャフニャしたものになり見苦しいだけですが、先生の舞踏は動きの1つ1つの軸が実にしっかりとしていて、それゆえプロの工藤さんや山田さんにも立派に太刀打ちされていました。心身共に素晴らしい表現力だと思います。」(C.O.さん)

7. 「最後に、即興だとおっしゃったので、余分なものが一切なくてしかも限りない、張力がはたらいたように満ちていく透き通ったもののような舞台であった理由が一部、なるほどとわかったように思いました。まさしく、意味など取りようもなく拾いようもないほどに溢れる動きと音あるいは静寂を、そこに物語を読み取ろうとするのは不遜であるように気づいて、単に追って行くばかりでおりました。しかしながら即興だからというよりももっと、先生のダンスがただただ美しいばかりで、エレガントで、悲しく、飲み込まれたように昨日は見ておりました。」(Y. S. さん)

8. 「昨日の会は本当にいかにも先生らしいスタイルで、大変よかったと思います。先生の人脈の広さにはやっぱりびっくりしました。講演会も非常に刺激的でした。tout という言葉を聴いて、ブローデルの言葉を思い出しました : 歴史は全体を求めないと意味がないと。そういう意味では、レヴィ=ストロースに代表されるフランスの golden generation の学問と思想のあり方を振り返る必要があるでしょうね。古い知恵から学びながら、自分の道を求めて生きたいと思います。」(W.Q.さん)

9. 「先生のダンス、素敵でした!身体の使い方もお見事でびっくりしました。ラインもきれいでしたし、コアがしっかりしていらっしゃるのでしょうね。最後の方の薔薇の香りもかぐわしく(カルメンの投げた始まりのバラを思い出したりして)、あのお財布にもひやっとしたり(笑)、男性ダンサーの方の、動物のような四足歩行の走り回る野性味もすごかったです。清水さんの、演奏しながら声を出したりするパフォーマンスにも驚きました。」(N.S.さん)

10. 「研究なんかじゃなくて、クリティーク。私も写真を通してしたいのは、研究なんかじゃないんです、批評なんだと改めて、この何年かで強く感じてきました。身ひとつで対象と、向き合うこと。そこから生まれてくるものを、つかまえること。そこから何かが起こる。だから、他の誰でもなく、小林康夫先生に指導を仰ぎ、そして何よりも人間としてそばで先生を感じることができたこと、大変うれしく、ありがたく、また誇りに思っております。先生が駒場から去られることを想うと、 駒場はどうなるのだろうと思いますが、先生のお背中を目に焼き付けたまた新たな人たちが引き継いで行かれるに違いない、そうであってほしいと願っております。」(Y.H.さん)

11. 未來社の西谷能英さんはご自分のブログで報告してくれています。→ 出版文化再生 II-3 小林康夫最終講義のおそるべき一日

12. 「3の弁証法から構造の4へ、そして今は、四の五といわず盛況であった舞踏が、頭の中をめぐっております。いやあ、先生のエネルギーに感服いたします。楽しかったです。」(N.Y.さん)

13. 「個人的な印象で恐縮でございますが、私は先生の「最終講義」において、「学問の型破り」の生々しい現場の目撃者・体験者になってしまった、という気がいたしました。最後に先生は、場を
・Vilify し
・Purify し
・Release する
というお言葉を、駒場に力強く残されました。
私は、その3つの単語を聴いた瞬間、「まさにそれが私だ」と、思いました。」(A. M. さん)

14. 「小林先生の最終講義、勇気と新しい力をいただきました。あの時間、あの空間に居合わせられたことに、心から、感謝申しあげます。本当にありがとうございました。」(C.H.さん)


みなさま、ありがとう!


180_1.jpg

180_2.jpg

180_3.jpg

180_4.jpg

Recent Entries


↑ページの先頭へ