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梶谷真司「邂逅の記録61:二度目の新年」

2014.01.01 梶谷真司

UTCPの運営に携わって二度目の新年を迎えた。

この一年は、運営には慣れたが、初めての経験がいろいろあり、相変わらずの困惑と興奮の繰り返しであった。一つは、ハワイ大学との共同サマーセミナーの日本での開催。これはブログで以前詳しく紹介したが、2週間東京で授業をした後、残りの1週間は金沢、福井、鳥取を移動しての大研修旅行となった。その間の移動、宿泊などの予約は、すべてUTCPのスタッフで行い、ほとんど旅行代理店と化した。数々の試行錯誤もあったが、助教の星野さんと事務の立石さんを中心に、見事にやり遂げてくれた。ハワイ大学のエイムズ先生と石田先生、学生たちも、感嘆感服していた。これまでUTCPになかったノウハウが蓄積された。今年はまたハワイでの研修だが、来年また日本で行うことになれば、その時生かせるだろう。

次に、昨年はSプロジェクトだった「研究・教育のための一般的方法としての哲学的思考」をPhilosophy for EveryoneとしてLプロジェクトに格上げし、活動を飛躍的に広げたことも大きな変化であった。これにより、国際哲学オリンピックへの支援がメインであった活動が、学校での哲学教育、様々なテーマのワークショップ、マンションのコミュニティ活動への協力、地方自治体への出張対話、様々な実践家との交流など、哲学プラクティス全般に広がった。そうした中で多くの人たちとのつながりができ、また研究会のメンバーも増えたので、今年はさらにいろんな活動を展開していけそうである。

三つめは、リーディング大学院プログラム「多文化共生・統合人間学」の採択である。これは、人文学を中心とする大学院プログラムで、従来型の研究者養成ではなく、国際機関やNGOなど、実社会でグローバルに活躍できる人材を育成するものである。UTCPの10年間の実績をもとにして構想したもので、つねに海外と交流しつつ、アカデミズムの外部へと開かれた活動をしてきたUTCPの進化形と言える。このプログラム自体は、UTCPとは別のものではあるが、小林さんや中島さん、石井さん、石原さん、私をはじめ、多くのスタッフがこれに関わっている。双方にとってプラスにしていければと思う。

運営に関して言えば、小林さんや中島さんからは、まだまだ学ぶことが多い。とくに小林さんは大胆さと繊細さのバランスが絶妙で、自分の稚拙さを痛感する。それでも、UTCPはスタッフのチームワークが良く、優秀かつ柔軟、誠実なので、結局はうまく回っている。そのカルチャーを今年も守って育てていければと思う。

私自身は、今年たぶん、昨年よりももっと忙しくなる。でも、もう少し余裕をもって進んでいきたい。私も一緒に進化しないと、自分にもUTCPにもついていけそうにないから。みなさん、謹賀新年。今年もよろしくお願いします。ともに愉快に、過激にやりましょう。

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