【報告】リーノ・ペルティレ講演会「ダンテとユリシーズと知性」
2013年5月21日、ハーヴァード大学教授/Villa I Tatti研究所長であるリーノ・ペルティレ教授をお招きして、駒場キャンパス21KOMCEEレクチャーホールにて「ダンテとユリシーズと知性」が開催されました。
このシンポジウムでは、最初にジョナサン・ネルソン氏がVilla I Tattiについて、その歴史的な背景を踏まえながら手短な紹介を行った。
Villa I Tattiは、イタリアのフィレンツェに位置したハーヴァード大学のイタリアルネサンスの研究センターである。ここは世界的に知られたイタリアルネサンスの研究拠点であり、Berenson Libraryとして知られる図書館には、50,000冊以上の蔵書や歴史的に価値のあるイタリアルネサンス絵画など、豊富な資料が揃えられている。また、Villa I Tattiは充実したスカラシップ制度も確立されており、そのため世界中から様々な学問的・文化的背景を持つ研究者が集い日々研究に励んでいる。そこに集う研究者らは、歴史家やアリストテレス研究者、文学研究者、音楽研究家など、広範な学問領域に及んでいる。ネルソン氏のレクチャーからは、このフィレンツェにあるVilla I Tattiの研究環境における魅力、その土地固有の魅力が十分に窺い知れ、そのような環境下で研究できる研究者たちを羨ましくさえ感じた次第である。
Villa I Tattiについての詳細情報は以下のウェブサイトから知ることができる。
http://itatti.harvard.edu/
続いて、イタリア言語学者であり、とりわけ中世ラテン文学および20世紀イタリア文学に造詣が深いペルティレ教授が、ダンテ作品について講演を行った。
そこでは、実際にダンテの作品がペルティレ教授によって読み上げられ、続いてその日本語訳が読み上げられるという試みが行われた。会場を交えての質疑応答では、ダンテ作品の背景であるダンテ自身の宗教観についての質問など、ダンテ作品に関わるものが多く挙げられた次第である。
(報告:西堤優)