第一回沖縄研究会開催
去る4月12日、東京大学駒場キャンパス101号館2階研修室で、第一回沖縄研究会が開催された。
沖縄研究会は、沖縄文化地域を主フィールドに、民俗学・社会学・文化人類学・芸術学など、一つのディシプリンにとらわれず、さまざまな学問領域からアプローチをしていく研究会である。研究発表と輪読を主軸とし、今後はフィールドワークや国内外の研究者との交流を視野に活動していく。
研究発表は、西原彰一氏による「沖縄における「なまえ」をめぐって―主に近代以降の「なまえ」をめぐる視点、視座の整理について―」が行われた。
近代の「なまえ」の原則概念は、一人一名、改名の原則禁止である。これには徴税・契約・徴兵など、近代国家が成立していく過程で、個を特定する必要上としての「なまえ」があった。しかし、前近代的「なまえ」には、そうした原則概念が必ずしも通用せず、沖縄における伝統的な「なまえ」も、機能的にはこうした概念とは異なっていることが指摘された。
沖縄の「なまえ」(姓・名)と、日本/ヤマトの名前との相違とは、沖縄と日本/ヤマトとの関係性のあり方に根ざし、同時に帝国日本による沖縄の内国化、「沖縄縣」化、統合化としての「なまえ」の改変(読み替え、書き換え、作り替え等)があった。同時に脱沖縄化、また、差別、ジェンダーとしての改姓、改名があり、そこには錯綜する問題が内包されていることが述べられた。
西原氏は、この近代沖縄の「なまえ」がたどった様々な改変について、それらを手がかりとして日本/ヤマト、沖縄それぞれの近代を再読する視点、視座としての可能性の整理を試みた発表であった。
次回の沖縄研究会は6月7日(金)、18時30分から東京大学駒場キャンパス101号館2階研修室で行われる。研究発表は崎濱紗奈氏、輪読は折口信夫『国文学の発生』。
参加希望の方はezu06552 [at] nifty.com(内藤久義[UTCP])までご連絡ください。
(内藤久義)