【ニュース】日本ラカン協会第12回大会
きたる12月9日(土)、日本ラカン協会12回大会が開催されます。
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日本ラカン協会第12回大会
日時:2012年12月9日(日) 10:00~18:00
場所:専修大学神田校舎7号館731教室(3F)
〒101-8425 東京都千代田区神田神保町3-8
水道橋駅(JR)西口より徒歩7分
九段下駅(地下鉄/東西線、都営新宿線、半蔵門線)出口5より徒歩3分
神保町駅(地下鉄/都営三田線、都営新宿線、半蔵門線)出口A2より徒歩3分
入場無料 事前登録不要
プログラム
研究発表 10:00-12:00
発表1:中村 亨(中央大学商学部)「『盗まれた手紙』における、<見る>ことと<男性的>立場について-語り手の役割から考える」
司会:若森 栄樹(獨協大学)発表2:福田 肇(樹徳中高一貫校)「挫折の構造 (Structure de l'échec)」
司会:川崎 惣一(宮城教育大学)
昼休み 12:00-13:00総会 13:00-14:00
シンポジウム 14:00-18:00
「哀しみ」を取りもどす ― 喪・メランコリー・抑うつ
Ressaisir ≪ la tristesse ≫ : deuil, mélancolie, dépression
提題:内海 健(東京藝術大学保健管理センター)
樫村 愛子(愛知大学/社会学)
向井 雅明(精神分析家)
司会:原 和之(東京大学)シンポジウム主旨
近年「うつ」の問題がクローズアップされてきたことが、現代人が抱える心の問題とそれへの対応の必要が広く認知されるにあたり、大きな貢献を果たしたということは言うまでもない。しかしその一方で、そうした動きがまず労働者の精神衛生という文脈で進んだことによって、この問題をめぐる議論にはしばしばいくつかの暗黙の前提が紛れ込んでくるように思われる。すなわちこの言葉で呼ばれる状態の非生産性であり、可能な限り早期の労働環境への復帰という目標であり、さらにはそこで求められる介入の効率性である。
しかし「うつ」と呼ばれる現象は、そうした文脈を超え出る広がりを持つ。そもそもそれは、つねに病理的であるとは限らない。人が肉親の死のあとで沈み込んだ様子を見せるのを、わたしたちはあくまで自然な反応であると考えるし、正常な発達の一段階が「抑うつ態勢」と名付けられることを、わたしたちは矛盾とみなすことはない。それは、わたしたちの経験の一部を無理なく構成しうるものであるし、成長の重要な一契機となりうるものでもある。また生産ということについて言うなら、長い間メランコリーが、すぐれて創造者の病と考えられていたことを忘れてはなるまい。その上でなおそれを非生産的と言い募るのであれば、そこで前提されている「生産」概念の硬直こそが問い直される必要があるのではないか。さらにわたしたちが生きていく上で喪失の体験が避けがたいものであるとするならば、「うつ」と呼ばれる現象は、わたしたちの生と不可分なものであるといえはしないか。だとするならばこの現象への介入の「効率性」も、異なった仕方で考えられる必要があるのではないか。
これらの指摘はすべて、「うつ」と呼ばれる現象を、それを語る際に用いられる「正常」「病理」等のさまざまな概念装置を、そしてその語りを枠づけるさまざまな文脈を、より繊細に位置づける必要性を示唆している。本シンポジウムではこうした作業を行うにあたって、そしてそうした作業を行った上で、精神分析がどのような貢献をもたらすことができるかを考えてゆ
きたい。
研究発表やシンポジウムの各提題の概要につきましてはこちら(日本ラカン協会のサイト)をご覧ください。
主催:日本ラカン協会