【刊行】ポール・ド・マン『盲目と洞察』(宮﨑裕助・木内久美子 訳)
旧UTCP共同研究員で新潟大学人文学部准教授の宮﨑裕助さんらが訳したポール・ド・マン『盲目と洞察──現代批評の修辞学における試論』が月曜社より刊行されました。
月曜社ブログより
盲目と洞察――現代批評の修辞学における試論
ポール・ド・マン(Paul de Man, 1919-1983):著 宮﨑裕助・木内久美子:訳
月曜社 2012年9月 本体3,400円 46判上製360頁 ISBN978-4-901477-98-7
内容:テクストと向きあう〈読むこと〉の透徹した営みによって、現代における批評の新たな方向性を決定づけた古典。ブランショ、プーレ、デリダらと果敢に対峙し、不可避的な内的齟齬への盲目性によって彼らの洞察そのものが支えられていることを暴く。鋭利な考察が今なお輝きを放つ、イェール学派の領袖の主著。1971年初版本よりの完訳。「叢書・エクリチュールの冒険」第4回配本。
原書:Blindness and Insight: Essays in the Rhetoric of Contemporary Criticism, Oxford University Press, 1971.
目次:
まえがき
第Ⅰ章 批評と危機
第Ⅱ章 アメリカのニュークリティシズムにおける形式と意図
第Ⅲ章 ルートヴィヒ・ビンスヴァンガーと自己の昇華
第Ⅳ章 ジェルジ・ルカーチの『小説の理論』
第Ⅴ章 モーリス・ブランショの批評における非人称性
第Ⅵ章 起源としての文学的自己――ジョルジュ・プーレの著作について
第Ⅶ章 盲目性の修辞学――ジャック・デリダのルソー読解
第Ⅷ章 文学史と文学のモダニティ
第Ⅸ章 抒情詩とモダニティ
訳者あとがき
索引
著者:ポール・ド・マン(Paul de Man)1919年ベルギー・アントワープ生まれ。ブリュッセル自由大学で工学、後に化学を専攻し、哲学や文学も広く学ぶ。1948年合衆国に移住。1960年ハーヴァード大学にてPh.D. 取得(比較文学)。コーネル大学、ジョンズ・ホプキンズ大学、チューリッヒ大学などで教鞭を執り、1970年以降、イェール大学比較文学科教授。1983年没。著書に、本書『盲目と洞察』(1971年、第二版1983年)のほか、『読むことのアレゴリー』(1979年)、『ロマン主義のレトリック』(1984年;法政大学出版局、1998年)、『理論への抵抗』(1986年;国文社、1992年)、『戦時評論集 1934-1943年』(1988年)、『批評著作集 1953-1978年』(1989年)、『ロマン主義と現代批評』(1993年)、『美学イデオロギー』(1996年;平凡社、2005年)、『ポスト・ロマン主義の窮状』(2012年)。
訳者:宮﨑裕助(みやざき・ゆうすけ)1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程(表象文化論)修了。博士(学術)。専門は哲学、現代思想。現在、新潟大学人文学部准教授。著書に『判断と崇高――カント美学のポリティクス』(知泉書館、2009年)、『世界の感覚と生の気分』(共著、ナカニシヤ出版、2012年)、『哲学と大学』(共著、未來社、2009年)ほか。訳書に、ジャック・デリダ『有限責任会社』(共訳、法政大学出版局、2002年)。
訳者:木内久美子(きうち・くみこ)1978年生まれ。イギリス・サセックス大学人文学部英文学科博士課程修了。D.Phil(英文学)。専門は比較文学、イギリス・アイルランド演劇、翻訳論、ジャンル論。現在、東京工業大学外国語研究教育センター准教授。著書に『サミュエル・ベケット!――これからの批評』(共著、水声社、2012年)ほか。論文に “Oxymoronic Perception and the Expression of Genres,” Journal of Beckett Studies 18.1 (2009) ほか。