【学会参加報告】International Association for Phenomenology and the Cognitive Sciences (IAPCS) および Society for Phenomenology and Existential Philosophy (SPEP)
元リサーチアシスタントの宮原克典です。
10月20日から22日にかけて米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSheraton Society Hillで開催されたSociety for Phenomenology and Existential Philosophy (SPEP)、および、SPEPのサテライト学会として19日に開催されたInternational Association for Phenomenology and the Cognitive Sciences (IAPCS) に参加しました。SPEPは、大陸哲学の潮流に属するあらゆる分野の研究者から構成されるアメリカで二番目に大きな哲学会です。特に今年は50周年大会ということもあり、規模の大きさが印象的でした。
私は19日のIAPCSにて"Does the two-visual systems hypothesis refute the enactive model of perceptual consciousness?"という発表を行ったのですが、いくつものサテライト学会(11個!)が同時進行で開催されていたこともあり、残念なことに、会議の参加者は全体で10名ほどでした。大陸哲学の研究者たちのあいだで現象学と認知科学の横断領域への関心がまだ低いことも理由の一つでしょう。しかし、参加者の距離感が近かったぶん、鋭い指摘や質問の多い濃密な議論ができたように感じました。20日以降はSPEP本会議の講演を聞いて回りました。個人的に興味深かったのは、John Protevi, Alva Noë, Shaun Gallagher, Joel Kruger, Søren Overgaardなどの講演でした(Evan Thompsonが病欠し、記念講演がキャンセルになったのが非常に残念でした)。
空き時間には「アメリカ建国の地」の散策を楽しみました。フィラデルフィアでは、街のあちこちに歴史的なモニュメントや歴史案内(「昔、〜〜がここに住んでいました」などの情報が書いてある看板)があります。
なかでも必見なのがIndependence Hallです。無知な私は、なぜこの小さな建物が観光の目玉なのか知りませんでした。
無料ツアーがあると言うので「2階からの眺めが良いのかな」などと慎ましやかな期待を抱いて行ってきました。蓋を開けてみれば、ここは独立宣言と合衆国憲法が調印された建物でした。どおりでセキュリティチェックがあるわけです。小さな展示室には、調印当時に印刷された独立宣言と憲法、調印のときに使われたインクスタンドなどがありました。
こういうのを見ると、アメリカ人でなくとも、ジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンの情熱に敬意を払わないではいられません。その日のランチ(移動販売のPhilly Cheese Steak)はいつもよりチップをはずみました。