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時の彩り(つれづれ、草) 136

2011.07.07 小林康夫

わたしには読めないわたしの本
 今日、1冊だけ届けられた本は、なんと中国語版のわたしの論のアンソロジー。

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タイトルは『知識的方法与責任』(知の方法と責任)、南京大学出版社の発行です(値段は44元だそうです)。これは『知の技法』三部作をはじめとして、90年代にわたしが「です・ます」調で書いたある種の「新しい啓蒙」シリーズに属する論文やエッセイを15本まとめたもので、当然ながら、日本語では1冊の形では存在していないものなのです。

4年前だったか、春に南京大学で講義をして、向こうの先生方とお話ししたときに、駒場からの知の発信としてなにか出版できないか、ということになったときに、わたしが提案したものが受け入れられたのですが、翻訳のチェックなどは、来週、UTCPで講演をお願いしている王前さんにお願いしたものです。いろいろな方の協力を得て、自分が考えたことが、外国語、しかも自分では読むことができない言語の一冊として存在することに、不思議な感慨を覚えます。

わたしには、強い哲学や強い思想はないのだと思いますが、このように一冊にまとまってみると、そこにはいまなら「態度の哲学」とでも呼びたいようなものがかすかに輪郭をとって現れているようにも感じられます。お世話になったみなさん、ありがとうございました。

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