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時の彩り(つれづれ、草) 123

2010.12.06 小林康夫

エルサレム・ハイファ報告(7)

ハイファは地中海に面する港町。カルメル修道会発祥の地でもあって、カルメルの丘が続いていて、その山の頂きにハイファ大学が建っている。ここでのシンポジウムは、2年前に駒場で講演してくださったKais Firroさんのお世話で、ハイファ大のThe Ezri Center for Iran & Persian Gulf Studiesが全面的に協力してくださった。

そのセンター長のSilo Shahvar教授が出迎えてくださって、アラブ・ユダヤの共生の街として定着しているハイファらしく「Challenges of Ethno-Religious Coexistence in the Middle East」というタイトルで1日のシンポジウムがはじまった。セッションは4つに分かれていて、最初が「Some Philosophical Aspects of Coexistence」で、これはUTCP中心の問題提起。中島さんなどが発表。第2が「Suunis and Shi’is : Can They Coexist?」。これは、Kais さん、Siloさんなどハイファ大のEzriセンターの人々の発表。大学の教員用レストランでの昼食を挟んだ午後の第3セッションは、「The Palestinian Inner Strife:Fatah and Hamas---Strange Bedfellows?」。ここに、ハイファ大のIdo Zerkovitzさんと並んで、UTCP側からはパレスチナ問題の先鋭的ジャーナリストである小田切拓さんが「The Dramatical Change of Hamas and Fatah after the Gaza War」という現地フィールドワークに基づく素晴らしい発表をしてくださった。さらに最後の「A case Study of Ethno-Religious Coexistence」のセッションでは、ハイファにおける「共生」の具体的な取り組みについて、Mahmoud Yazbakさん、Johnny Mansourさんの発表。それら熱い発表に対して、最後に、ジョエル・トラヴァールさんとわたしがクロージング・リマークを行った。発表にディスカッションと充実した1日でした。

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 実は、そのあと、またしても4名のメンバーがタクシーに乗り込んで、港近くの街の中心にある広大なバハイー教の庭園を訪れました。遠く地中海をのぞみながら、黄昏の光のなかで、バハイーの案内の方とある種の宗教問答を行ったこの静かな時間はわたしにはとても懐かしいような貴重な時間でした。(そういえば、すべてのオプショナル・ツアーにわたしは参加しているなあ、とあらためて思いますね、これも〈貪欲〉かしら?)

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