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時の彩り(つれづれ、草) 118

2010.11.16 小林康夫

お久しぶりです

イスラエルからは7日の夜に帰国したのですが、その後の1週間がそのままタイトスケジュールで、旅のあいだにたまった郵便物に目を通すことができたのが、ようやく昨日のこと。でも、怒涛の日々とはいえ、ジャン=ピエール・ルデュック=アディーヌさんとの昼食とか、同じ日になりましたが、UTCPの友人と言っていいリッキー・カーステンさんとの夕食など海外の研究者との楽しくまた刺激的な会食も含まれていたのでしたが。

その後、京都にいって、恩師の一人である渡邊守章先生とデュラスの「アガタ」をめぐってのトークなどと時差ぼけが直らないままで国内旅行をしていたりするのがこたえるのですが、それでも京都ではフランスの写真家ウィリー・ロニスの展覧会などを見る時間を捻出できたのは楽しかった。土曜にあったNHKの収録を最後に、まあ、一区切りついた感じはします(言うのが早すぎる気もしないではないが)。イスラエルのイベントに関しては、わたしがこのブログ欄を使って、数回の連載形式で報告をアップします。

エルサレム・ハイファ報告(1)

というわけで、その第一回。イスラエル・パレスチナ問題は、ともかく「共生」ということをキーワードとして掲げているわれわれUTCPとしても避けて通れない地域で、イスラム理解講座と平行して、イラン・パペさんを筆頭に、これまで毎年、この地域に関係する方々を招聘して講演をお願いしてきました。

本来、グローバルCOEの計画調書では、来年の最終年度に、現地でシンポジウムを行う予定にしていたのですが、諸般事情というか、わたしの直観で、今年度に前倒して実行しようということになって、これまでパレスチナ問題をフォローしてきてくれている研究員の早尾さんにお願いして、この秋に向こうの研究機関と組んで、シンポジウムを開催することを打診したところ、エルサレムのヴァン・リー研究所とハイファ大学との二つの提携が成立。UTCPからはわたしのほかに、中島さんともちろん早尾さんを含めたメンバーが、さらにフランスのEHESSからはジョエル・トラヴァールさんが参加。本来は、NYUからチャン・シュートンさんも参加する予定でしたが、直前に来られない事情が生まれたのは残念でした。

ともかく、わたしとしては、イスラエルと日本だけではなく、第三者を含んだ国際連携を実現したかったのです。外交もそうだと思いますが、もはや二国間という「対」関係だけでは立ち行かない時代に差し掛かっているというのがわたしの認識です。はじめに言っておくなら、トラヴァールさんの参加は大きな力でした。かれがいてくれたことで、開かれていった次元が確実にありました。関係の基礎に、二項関係をおくのではなく、はじめから三項関係をおく、――そこに考えてみなければいけない重要な鍵があると思います。

というわけで、次回より、公式報告というよりは、わたしのパーソナルな報告という形で、カオスの渦であった今回の「激しい旅」をレポートします。

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