【刊行】ジャン・ジュネ『シャティーラの四時間』(鵜飼哲/梅木達郎訳)、インスクリプト
2010.06.28
早尾貴紀
ジャン・ジュネの伝説的なルポルタージュ「シャティーラの四時間」を中心に、当時のジュネのインタヴュー、訳者によるジュネ論や資料を加えて、『シャティーラの四時間』(鵜飼哲/梅木達郎訳)がインスクリプトから刊行されました。
ジャン・ジュネ『シャティーラの四時間』、鵜飼哲/梅木達郎=訳、インスクリプト、2010年
本書の中心をなすルポルタージュは、1982年のイスラエルによるレバノン侵攻時に、イスラエル軍が親イスラエルのレバノン民兵と協力してパレスチナ人のシャティーラ難民キャンプで虐殺を引き起こした直後に、フランスの作家ジャン・ジュネがキャンプに入って目撃したものを書いたもの。
「私生児」「非国民」のジュネは、難民キャンプからイスラエルと闘うパレスチナの戦士たちに思いを寄せ、長く寄り添っていた。その後の遺作となる大著『恋する虜』の原点ともなるルポルタージュです。
UTCPにも何度か来ていただいたことのある鵜飼哲氏の訳になります。
なお本書には併せて、同時期のジュネへのインタヴューが収録されています。インタヴューは、故人となった梅木達郎氏の遺したもの(梅木氏には、「シャティーラ」や『恋する虜』も扱ったジュネ論があります。『放浪文学論』もこの機に広く読まれてほしいと思います)。
また、UTCPの早尾貴紀が、関連資料としてパレスチナ国民憲章を翻訳しました。
目次詳細は、インスクリプトのサイトで。