【刊行】高榮蘭『「戦後」というイデオロギー―歴史/記憶/文化』
2009年度までUTCPのPD研究員だった高榮蘭さん(現日本大学准教授)が『「戦後」というイデオロギー―歴史/記憶/文化』を藤原書店より刊行しました.
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【書誌情報】
高榮蘭,2010年,『「戦後」というイデオロギー―歴史/記憶/文化』,藤原書店.
ISBN-10: 4894347482
ISBN-13: 978-4894347489
【目次】
はじめに―日本(語)の八月
第I部 戦後というバイアス
第1章 幸徳秋水と平和的膨張主義
一 「幸徳秋水」の編成
二 錯綜する「帝国主義」の概念
三 『廿世紀之怪物帝国主義』と構成される平和主義
四 戦争責任論と戦後責任論の限界
五 非戦/反戦論の遠近法
第2章 『破戒』における「テキサス」
一 島崎藤村『破戒』をどう読むか
二 差別解消法としての植民論
三 「平和的」膨張論・前史
四 雑誌『社会主義』における「移動」の言説
五 日本の植民地「テキサス」
第II部 記憶をめぐる抗争
第3章 戦略としての「朝鮮」表象
一 中野重治「雨の降る品川駅」を翻訳する
二 帝国日本のプロレタリア文学運動
三 朝鮮語メディアと書物の移動
四 「朝鮮人」は被圧迫民衆なのか
五 連帯の幻想
第4章 植民地を消費する
一 転向と植民地作家の条件
二 崔承喜と張赫宙の対談
三 「和製・国産」植民地スターの誕生
四 われらの「朝鮮」
五 二重言語と日本(語)文学の起源をめぐる幻想
第5章 総力戦と『破戒』の改訂
一 ふたたび『破戒』について
二 「部落」と「朝鮮」の交錯
三 全国水平社の運動方針
四 総力戦に向かって
五 「国民文学」としての再生
第III部 戦後神話のノイズ
第6章 文学と八月一五日
一 「日本人」は被圧迫民族なのか
二 金達寿『玄海灘』と国民文学
三 八月一五日の遠近法
四 雑誌『新日本文学』と『民主朝鮮』
第7章 「植民地・日本」という神話
一 金達寿と許南麒
二 「抵抗」する主体の編成
三 占領政策と『民主朝鮮』
四 日本共産党のダブルスタンダード
五 「共闘」をめぐる陥穽
第8章 共闘の場における「女」たち
一 メーデーのポスターから
二 抵抗する「母」の境界
三 「パンパン」という身体
おわりに――『シンセミア』のかげの星条旗
一 平和なニッポンから
二 占領という空間と時間の交錯
三 「九・一一」と読者の位置
四 暴力の記憶を見る・聞く・語る
あとがき
人名索引