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時の彩り(つれづれ、草) 093

2010.01.19 小林康夫

気狂いピエロ

先週、北京から帰った翌日は、スイスからいらしたアルベラ先生の講演。

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哲学のセンターだからと、わざわざ講演の冒頭を手直しして、「失敗の哲学」のパートを付け加えてくださったのに、大学院の会議のせいでその部分を聞き逃したのが残念。しかしエイゼンシュタインの「ガラスハウス」プロジェクトの話はおもしろかった。刺激になりました。

アルベラさんはわたしより1、2歳年上だがほぼ同世代。翌日も続いたワークショップのあとの居酒屋での懇親会で鍋をご一緒しながら、シネフィルとして生涯の映画ベスト3は何?と水を向けると、即答で出てきたのがゴダールの「気狂いピエロ」。ここで意気投合して握手。2番はさすがにずれて、先生はストローブ=ユイレと来た。わたしのほうはフェリーニの「アマルコルド」。3番になったら、ふたりともあまりにたくさん候補があって決まらず。めったに映画については喋らないわたしですが、映画的に同じ時代を生きてきたことを確認して盛り上がった次第。こういう余白の部分での交流も楽しいのですね。

しかしなんといっても、いっしょに連れていらした、どことなく「ベルリン・天使の詩」のソルヴェイグ・ドマルタンを思わせる奥様、三歳半の可愛いアルバちゃん(娘)が印象的でした。寝てしまったアルバちゃんを抱きかかえた先生ご一家を深夜、自分の車で新宿のホテルまでお送りしました。

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