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サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(青土社)刊行

2009.11.24 早尾貴紀, 出版物

 今年3月にUTCPで招聘したサラ・ロイさんの来日時の講演、対談、インタヴューをもとに編集翻訳し、解説論考も加えた本を刊行しました。

 サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ――パレスチナの政治経済学』
 (岡真理、小田切拓、早尾貴紀=共編訳、青土社、2009年、2600円)

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 サラ・ロイさんは、ホロコースト生き残りを両親にもつユダヤ人として現代世界の「倫理」のあり方を問いながら、同時に、イスラエルによるパレスチナ占領を最も根本的なところから政治経済学的に分析し批判を加えています。
 とりわけ、ガザ地区という小さな土地がイスラエルの占領政策にとって極めて重大な意味をもってきたということを、主著 The Gaza Strip: The Political Economy of De-Development によって展開し、ガザ地区に関しては必読の教科書とも言われています。
 そのため、ちょうど一年前の11月にUTCPでの招聘を決めていたものの、その後の12月末から1月半ばにかけてのイスラエルによる猛烈なガザ攻撃があったために、3月のロイさんの来日講演は大きな注目を集め、『朝日新聞』、『世界』、NHKラジオ、市民運動誌など多くのメディアにも取り上げられました。

 本書では、ホロコーストとガザ攻撃に関する主要な二講演、徐京植さんとの対談もすべて収録されているほか、早尾がガザ地区およびロイさんの上記主著を含む仕事の全貌を紹介し、またジャーナリストの小田切さんが、ロイさんへのインタヴューを軸に「開発援助」の問題を深く掘り下げています。
 当日参加できなかった方はもちろんですが、一度聞かれた方も、本書によって細部まで熟読していただければ幸いです。

(オビ・目次より/細目次は青土社サイトにあります)

ひとつの社会全体が崩壊しようとしている
「パレスチナ問題」 を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領の実態と国際社会の援助の行方。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。

【目次】
序章 ガザ地区とパレスチナ占領の概要およびサラ・ロイの仕事  早尾貴紀

PART 1
第1章 もしガザが陥落すれば・・・・・・ 二〇〇八年一二月二六日 サラ・ロイ
第2章 ガザ以前、ガザ以後 イスラエル‐パレスチナ問題の新たな現実を検証する  サラ・ロイ
第3章 「対テロ戦争」 と二つの回廊  小田切拓

PART 2
第1章 ホロコーストからパレスチナ‐イスラエル問題へ  サラ・ロイ
第2章 〈新しい普遍性〉を求めて ポスト・ホロコースト世代とポスト・コロニアル世代の対話  サラ・ロイ × 徐京植

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