ジャック・デリダ『ならず者たち』
ジャック・デリダ晩年の政治哲学論『ならず者たち』が鵜飼哲・高橋哲哉氏の翻訳によって、みすず書房から刊行されました。
2002年の夏におこなわれた2つの講演原稿からなる本書は、「2001年9月11日」以後の世界情勢を踏まえたデリダ自身の哲学的政治論です。いずれも「9・11」直後のセミネール「獣と主権者」での議論の延長線上にある内容で、主権概念の根底的な再検討とともに、デリダ後期思想の核をなす「来たるべき民主主義」論が濃密に展開されます。目次の各項目を概観するだけで、本書が異形の政治―哲学論であることがわかります。
〈目次〉
前文 来たれ〔Veni〕
強者の理性(ならず者国家はあるか?)
1 自由な車輪
2 放縦と自由――悪知恵に長けた=車裂きにされた者
3 民主制の他者、代わるがわる――代替と交代
4 支配と計量
5 自由、平等、兄弟愛、あるいは、いかに標語化せざるべきか
6 私が後を追う、私がそれであるならず者
7 神よ、何を言ってはならないのでしょう?来たるべきいかなる言語で?
8 最後の/最低のならず者国家――「来たるべき民主主義」、二回回して開く
9 ならず者国家、より多く/もはやなく
10 発送
来たるべき啓蒙の「世界」(例外、計算、主権)
1 目的論と建築術――出来事の中性化
2 到来すること――国家の(そして戦争および世界戦争の)諸々の終焉に
(EHESSでの2001-2002年度セミネール「獣と主権者」)
(文責:西山雄二)