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時の彩り(つれづれ、草) 083

2009.10.26 小林康夫

 アルゼンチン・ノスタルジア

先週より本サイト(正確にはリンクを張ったYoutube上)に、西山さんが制作した昨年のアルゼンチンにおけるふたつのコロックとその余白の映像がアップされている。

映像作品「もうひとつのEND」(西山雄二監督、2009):
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/2009/10/post-286/

お断りしておくが、わたしが作ろうと呼びかけたのではなく、すでに映画作品「哲学への権利―国際哲学コレージュの軌跡」を作っている西山さんが、稲妻のごとき衝動から一晩で編集したもの。

わたしの『知のオデュッセイア』所収のテクストを各所に引用してあるし、撮影は西山さんだから、必然的に「主演」はわたしで、面映いというか、恥ずかしいという思いがないわけではないが、ひとつの実験として公開した次第。最後の静かな湖畔での二匹の野良犬との邂逅は、なるほどあの最果の地への旅の奇跡的な恩寵でもあったかもしれない。ほんとうにたまたま近寄ってきて、しばし旅人のわたしの足下に滞在し、そしてまた風のように駆け去っていった(勝手に名づけておこう)ジャックとマーティン、君たちの姿がインターネット上で可視化されているよ、と伝えたい。懐かしいなあ。

そうそう、不思議なことに、その映像が公開された日、ぜんぜん思いもかけない経路から、ボルヘス夫人と会うという話が舞い込んできた。まるでエコーのような。というわけでマリア・コダマさんに今夜会うことになっています。「ボルヘスの隣でボルヘスを読んでいた」ことの帰結のひとつでしょうか。


 ご案内(女優・岡田茉莉子さんのイベントでトークをします)

この月末に岡田茉莉子さんの自伝が刊行されます(文藝春秋刊)。それにあわせてポレポレ東中野で記念回顧上映が行われますが、関連イベントで蓮実重彦さん、四方田犬彦さんに並んで、なぜか、わたしもミニ・トークをすることになってしまいました。

映画は好きだが、いわゆるシネフィルには遠いわたしに、しかもご本人を前にして、いったなにが語れるのか。困惑しています。なんとなく絶体絶命のピンチ。(わたしの出番は、11月3日(火)15時30分からの「流れる」(成瀬巳喜男監督)上映のあとです。問いあわせは、ポレポレ東中野(03-3371-0088)へどうぞ。)

ポレポレ東中野:
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
自伝刊行記念 回顧上映「女優 岡田茉莉子」タイムテーブル:
http://www.mmjp.or.jp/pole2/okadamariko-time.html

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