Blog / ブログ

 

『現代思想』2009年11月号 特集=大学の未来

2009.10.25 宮崎裕助, 西山雄二, 出版物

『現代思想』2009年11月号(特集=大学の未来)が刊行されました。

gendaishiso%20s.jpg

西山雄二は鼎談に参加し、ジャック・デリダの「世界市民的見地における哲学への権利」を訳出しています。これは1991年にユネスコでの国際会議の導入としておこなわれた講演で、「制度(institution)の問い」と「学問分野(discipline)の問い」をめぐる考察です。デリダは、カントの歴史哲学の最重要テクスト「世界市民的見地における普遍史の理念」を、興味深いことに「教育論」として読み解き、男女を問わずあらゆる人々にとっての哲学への権利の擁護と拡張、研究教育制度の場所、哲学の国際性や普遍性といった問いを浮かび上がらせながら、ユネスコの哲学的な社会参加(アンガージュマン)の役割を称揚しています。デリダのこうした問いかけに関しては、拙映画『哲学への権利』もご参照ください。
公式HP 映画『哲学への権利』http://rightphilo.blog112.fc2.com/

また、共同研究員の宮崎裕助の手によって、4月にUTCPで講演していただいたクリストファー・フィンスクのたぐい稀な人文学原理論「〈言語〉の要求 人文学擁護のために」が翻訳されています。

本年2月15日、UTCPの若手メンバーによって、韓国の研究空間〈スユ+ノモ〉でワークショップ「人文学にとって現場とは何か?」が開催されましたが、高秉權さんの発表原稿「「知」 は 「生」 を救えるか 人文学者と「現場」」が本誌に掲載されています。

本特集号をめぐっては、11月19日(木)16.20- に自由研究ゼミ「いま、知の現場はどこにあるのか」の主催でワークショップ「大学の未来」が東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーション・ルーム3で開催されます。関心のある方はご参加ください。

+++++++++++
『現代思想』2009年11月号 特集=大学の未来 目次(特集部分のみ)

【討議】
大学の未来のために / 岩崎稔+大内裕和+西山雄二

【インタビュー】
大学に未来を / 亀山郁夫

【大学の未来】
ボローニャ・プロセスと 『大学の歴史』 アレゼールからの批判と提言 / 岡山茂
トリノからの展望 敵対のなかで発現する大学の思考のために / 白石嘉治

【現場の惨状】
自己点検という名の不快な権力作用 / 澤野雅樹
院生問題 いま、「学生に賃金を」 を考える / 秋山道宏+栗原康

【大学の可能性】
ネオリベラル・アーツ化する大学教育と 「教養」 の未来 / 村澤真保呂
われわれは大学が何をなしうるか、ということさえわかっていない / 小泉義之

【哲学への権利】
世界市民的見地における哲学への権利 / ジャック・デリダ (訳=西山雄二)

【人文学の実践】
〈言語〉の要求 人文学擁護のために / クリストファー・フィンスク (訳=宮﨑裕助)
「知」 は 「生」 を救えるか 人文学者と 「現場」 / 高秉權 (訳=藤井たけし)


(文責:西山雄二)

Recent Entries


  • HOME>
    • ブログ>
      • 『現代思想』2009年11月号 特集=大学の未来
↑ページの先頭へ