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【報告】ジョン・マラルド「日本哲学の約束 II」

2009.02.11 中島隆博, └日本思想

2009年1月29日、日本思想研究者ジョン・C・マラルド氏による第2回目のセミナー"The Promise of Japanese Philosophy II: Fact versus Value, Descriptive versus Normative: an Alternative"が行なわれた。

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第二回目のセミナーでは、「ファットとノルマ」 」という二項対立を主題にして氏の論旨を展開していった。既存の理解は規範的なもの(normative)/記述的なもの(descriptive)、すなわち理想(ideal)と事実(fact)を区別する。ヒュームによると人間領域のあらゆるものはそうなるべくものとして存在しない。もし、そのようなものが存在するならばそれは神によるもの、自然である(トマス・アクィナス)。しかし、マラルド氏によると伝統的な中国思想のなかで法、天、道という概念はすでに規範的なものと記述的なものとが区別できない地点を持つという(七十而從心所欲不踰矩)。
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カンティアン的な規範に対する日本思想のオルタナティブな意味は、①規範的なものと記述的なものの分離不可能性、②規範と実行(practice)の一致にある。つまり、そうなるべきものとそのように存在するもの、そうでなければならないものは一致する。そのような規範は多彩で偶然的なものであって、いかなるドグマ的な体系とも無縁である。以上のような議論の上で、マラルド氏は規範的なもの自体が自己と他者との出会いである偶然性に基づいている以上、自己の意志ではなくノルマに従う個人は必然的に他者への参照に導いていくと主張した。

(文責:李英載)

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