【報告】短期教育プログラム「歴史哲学の起源――コスモロジーとエスカトロジー」
本教育プログラムは、生がいかに自らを解釈しうるのかという問いをめぐる思考が歴史哲学の中心にあるという見通しのもとに、とりわけ20世紀初頭のドイツの哲学に焦点を当ててきた。
以下に見られるように、ハイデガー、シュミット、ローゼンツヴァイク、ベンヤミン、シュトラウス、タウベス、ブルーメンベルクなどの哲学者が去年のプログラムの研究対象となったが、これからは以上の哲学者についての研究をさらに深めるとともに、ディルタイやヨルク伯など十九世紀の哲学者のみならず、カントをはじめとした十八世紀啓蒙主義の歴史哲学にまで研究範囲を広げるつもりである。詳細なプログラムの趣旨についてはブログ報告を参照されたい。
(主催:森田團・大竹弘二)
2008年4月‐12月の活動報告
詳細はブログ報告参照してください(欠落もあります) ⇒ こちら
4月18日
西山達也:「ハイデガーとコスモス――「ナトルプ報告」から出発して」
4月23日
小林康夫による中期教育プログラム「時代と無意識」との合同演習(以来、「歴史哲学の起源」は、単独の研究会を開かず、水曜5限の小林康夫のゼミ「時代と無意識」の枠内で研究発表を行なうこととなった)
森田 團:研究会の趣旨説明とエスカトロジーの概念についての解説
大竹弘二:終末をめぐってへルマン・コーエンとフランツ・ローゼンツヴァイクの思想を検討
4月30日
森田 團:「滅びのリズムと根源――ヴァルター・ベンヤミンの歴史哲学の一側面」
6月4日
大竹弘二:「主権・陰謀・例外状態」
6月18日
森田 團:「終末論の本質――ヤーコプ・タウベス『西洋の終末論』の第一章を読む」
タウベスの『西洋の終末論』の序文の内容を紹介しながら、終末論を構成するもろもろの諸要素に考察を加えた。
6月25日
大貫 隆:「グノーシスと政治――M・ヴェーバーとH・ブルーメンベルクの所説に寄せて」
のちに公刊された『グノーシス 「妬み」の政治学』(岩波書店)のいくつかの章をもとに、グノーシス思想の基本思想とそれに対するヴェーバーとブルーメンベルクの解釈についての考察。
10月29日
ワークショップ「レオ・シュトラウスのアクチュアリティー」
大竹弘二:無題(アメリカ亡命前のシュトラウスの思想的営為とその変遷を辿る)
國分功一郎(高崎経済大学):「哲学と自然――シュトラウスとドゥルーズ」
合田正人(明治大学)コメンテーター
11月5日
森田 團:「詩人の想像力と歴史哲学――ディルタイと力の概念」
12月3日
大竹弘二:「政治神学的敵対の終焉をめぐって――カール・シュミットとハンス・ブルーメンベルク」
ブルーメンベルク『近代の正当性』とシュミット『政治神学II』を中心に両者の論争を追う。
12月10日
石川文康(東北学院大学):「カントの歴史哲学――理念の歴史性をめぐって」
カントの歴史哲学をおもに『永遠平和のために』における「永遠平和」の理念から抽出する試み。