時の彩り(つれづれ、草) 053
2008.12.26
小林康夫
☆ 幸福(「魔笛」)
2008年も残りわずか。
今年も1月パリ、3月のハワイ、ニューヨーク、9月のパリ、アルゼンチン、11月のパリとずいぶんと飛行機にのった。
そんなことやっていると、やはりなかなかまとまった仕事は結実しないなあ、と疾風怒涛の時間が少しうらめしく。でも、思いかけない仕事もいくつかあって、ひとつは、観世の御宗家から頼まれた小さな謡のテクスト(これは新年のご挨拶に披露します)。
もうひとつは日生劇場からの依頼で、11月に行われたオペラ『魔笛』のプログラムへの寄稿。これにはびっくり。でも、嬉しかったですね。『幸福の器――夜が明ける前に』というとっても短いテクストだけど、気持ちよく書きました。
「自然の力に理性の力がとって代わろうとする嵐の時代にあって、理性がけっして到達できない幸福を与え返すために、そして娘のパミーナが自然と理性を統合した真に幸福な《人間》に目覚めることができるように、あえて柏の巨木を切り刻み、太古の自然の魔法の力を笛とした」パミーナの父の「深慮」へと思いを致すエッセイ。ベルイマンの映画からはじまって、「魔笛」のDVDもいくつかもっているが、あらたにいただいたものもある(クリスマス・プレゼント!)のでこの年末は「魔笛」三昧かなあ・・・(Pa,Pa,Pa…Pa)!?