【報告】学生シンポジウム「権力と表象(1):イメージの作法」
2008年11月21日、学生シンポジウム「権力と表象(1):イメージの作法」が開催された。
作家あるいは作品そのものを追究することと、それらが持つ可能性とアクチュアリティを読み取ること。この二つを両立させるイメージ研究は、なかなか難しいのではないだろうか。多くの研究は、前者を選択して無味乾燥な歴史実証主義的な研究となるか、あるいは後者を選択して作品そのものから遠くはなれた批評となっているのが現状である。
今回のシンポジウムの土台となった研究会「イメージの作法」で共有されているのは、このようなイメージ研究の方法論に対する問題意識である。それぞれの発表者の研究対象は時代も地域も多種多様であるが、テキストや作品に密着しながらも制度や権力といった開かれた問題に積極的にアプローチするという共通性が、シンポジウムで明確になったように思われる。イメージ研究に体系的な理論や手法は必ずしも必要ではない。発表者たちは、個々のケース・スタディーをとおしてそれぞれの「作法」を導き出すことにうまく成功したのではないだろうか。
(文責:河村彩)