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時の彩り(つれづれ、草) 001

2007.09.10 小林康夫

 UTCPの新サイトが立ち上がった。今度のUTCPは本格的にWebを、活動・運営の中心的な「場」として活用することを基本方針としてみなさんに協力をお願いした以上、まずはリーダーとしてみずからアクティヴに関わることは必然だろう、と判断して、これまで守ってきた「蜘蛛の巣」には手を出さないという掟を破棄して、これからしばらくは試行的に、週一度くらいのペースで、個人的な、ときにはあまりに個人的な「はがき」を投壜する。同時に自分がかかわるいくらかのイベントについて案内させていただく。


 思考(「歴史」について)

友人の編集者西谷能英さん(未來社)から、前から話しあっていた月刊誌『未来』におけるエンドレスの連載を、諸事情から、ただちに開始してくれ、と頼まれ数日悩んだあげく、きわめて短くコンパクトで、書いてる本人にも難解な!テクストを書きはじめる。なにかについて「論じる」のでもなく、なにかを「物語る」のでもない、ある意味では純粋な「思考のパルティータ」という格闘・・・実は、自分にとっての原点みたいな作業。2時間机に座っていても数行しか文章が書けないという、最近ではすっかり忘れていた感覚をなつかしく思い出したが、同時に、やはりそのような苦行を通してはじめて、いくらかは見えてくるものがある。UTCPという場を通じて、わたし個人として、当面、なにができるか、なにをしたいかも、おぼろげに見えてきたようにも思われる(もっとも現地点で書き終わってないので、あるいは全面破棄という事態も考えられるが・・・)。基本的なフレームは「歴史」について。わたしなりの「歴史哲学テーゼ」というのは大げさだが。とうとう、という感慨がないわけではない。


 感覚 (ブラームス・ウィトゲンシュタイン)

朝、ブラームスのクラリネット五重奏曲ロ短調を聴いているときに、突然、ウィトゲンシュタインがなぜ「ブラームスは無彩色だ」と言っていたのかがわかった!
『哲学宗教日記』(講談社)のその記述がずっと心に残っていたのだったが・・・


 案内(9月15日横浜美術館)

横浜美術館で開かれている「森村泰昌――美の教室、静聴せよ」の企画で、森村さんと対談レクチャーの予定。14:00~16:00。同美術館レクチャーホールにて。森村さんは、かつて駒場の900番教室でマリリン・モンローとなって降臨してきた。いま思い出してもどきどきする。今回はいったいどんな展開になるのか。森村さんの作品もまさに「歴史」そのものが問題。森村さんにおける「歴史」の皮膚感覚を訊ねてみたい。

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