破急風光帖

 

★  日日行行(641)

2023.12.13

* ここ数日、わたしの駒場時代が戻ってきたような感覚でした。

 まずは9日土曜の夜、来日したドミニック・レステルさんと渋谷の居酒屋へ。かれは東京フォーラムに招かれて来日ということでしたが、日本酒を飲みながら「来るべき哲学」について、いつものように熱い対話を。かれとの交流ももう10年以上に及びますね。今年は6月のパリ滞在のときに、かれのお宅に招かれてご馳走になったのでしたが。今回は、そのお返しかな。
 次の日曜は娘一家や妹一家などとの家族会。これもコロナ禍でなかなかできなかった会をひさしぶりに開くことができて、さらに月曜には、今年いろいろお世話になった「週刊 読書人」の編集者の方々と忘年会。いや、その前に新年号のための仕事をちょっとしてからでしたが・・・
 そして昨日は、ひさしぶりの駒場キャンパス。昔の教え子と言ってもいいキム・ハンさん(ヨンセ大学ですね)の講演を聴きに行きました。「ヤクザ」という過激な切り口を通して、戦後の日本社会の根本的なあり方を、「内戦」あるいは「(法的)戦争」という視点から分析しようとするもの、そこには、表象文化論の本来的な「過激さ」が花咲いていました。そして、みなさんと、なつかしい駒場の線路下の居酒屋へ行って打ち上げ。そうしたら、その女将がなんと、わたしのことを覚えていてくれました!もう8年くらい行っていなかったのに!戻ってきますね、過去のモーメントが。
 こうやって、お酒を飲みながら、海外から来た友人たちと、激しい議論をすることができた。ありがたいことでしたね。わたしにとっては、駒場にいたことの意味は、そこに極まるように思えてきました。
 年の終りにふさわしい、なつかしい時間でした。
 「なつかしい」けど、でも、過去の時間ではなく、やはり現在(いま)の時間です。
 流れていく時間です。流れて行く時間、先は見えないけど、しかしいま、流れて・・・(星)。


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